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近視

きんし

近視と近視進行抑制、屈折矯正手術

患者さんが眼科を受診される最も多い原因の一つに近視があります。日本人は欧米人と比較して近視の割合が高いといわれ、人口の約半分以上、すなわち約6,000万人以上は近視であるといわれています。近視の方の中にはメガネやコンタクトレンズなどで問題なく生活されている方もいますが、職業的な理由やコンタクトレンズが合わないなどでメガネやコンタクトレンズが使えず日常生活に不自由を感じたり、また日常生活は可能でも趣味のスポーツをするときなどに不便を感じる方もたくさんいらっしゃいます。さらに災害発生時にはメガネやコンタクトレンズを装用する時間的余裕がないこともあります。このように近視でお悩みの方に対し、まずこれ以上近視を進行させないためにいくつかの方法がありますが、最も導入が容易なものは太陽下の屋外活動です。屋外活動の推奨時間は1日2時間以上ですが、少しでも増やそうとする意識が重要です。また、現時点では近視が進んでしまったら基本的には元に戻すことはできないため、屈折矯正手術として、エキシマレーザーを用いたLASIKや、有水晶体眼内レンズを眼の中に入れる治療などがあります。

近視とは?

眼のしくみはカメラに例えることができます。近視のない眼(正視)では、眼に入った光(光線)は角膜と水晶体という、カメラでいうところのレンズによって曲げられ、焦点が眼底の網膜(カメラでいうフィルム)の上にピッタリと合うのではっきりと見えます。これに対し、近視眼では光の焦点が網膜では結ばず、手前へずれているためぼやけて見えるわけです(図1、2)。

図1

図1.正視の場合

図2

図2.近視の場合

屈折矯正手術LASIKとは

LASIK(レーシック)とは、フェムトセカンドレーザーなどで角膜フラップ(薄い蓋のようなもの)を作成した後、エキシマレーザーによって角膜を切除し、その屈折力(光を曲げる力)を変えて光の焦点が網膜上に合うようにし、近視と乱視を同時に矯正する手術です(図3)。LASIKは視力回復が迅速で痛みが少なく安全性が高い手術で近視治療に画期的な変化をもたらしました。日本で2000年1月の厚生省(現厚生労働省)のエキシマレーザーの認可を期に、慶應義塾大学病院眼科でも2000年4月よりこの手術を開始し、良好な成績を得ています。さらにこの手術では、近視ばかりでなく、遠視や乱視、病気やけがによる不正乱視も同時に治すことができます。また、生来の近視や乱視ではなく、白内障術後などの手術後の乱視に悩む方も治療可能です(例外はあります)。

図3

図3

手術は慎重に

このように安全性、確実性の高いLASIKですが、残念ながらすべての人に適するわけではありません。20歳未満の方、近視以外の眼の病気がある方、角膜(黒目の表面の部分)の厚みが薄い方などは手術に適さないこともあります。安全に手術を行うためには眼科専門医による正確な検査と診察が必要です。

入院は不要、手術時間は両眼で20分程度

手術は通院のみで可能です。方法(図4参照)は、(1)手術開始前に点眼麻酔(目薬による麻酔)をし、開瞼器と呼ばれる器具で眼をあけます。(2)フェムトセカンドレーザーなどで角膜のフラップ(蓋のようなもの)を作成します。(3)フラップをめくり、角膜実質(角膜内部の組織)を露出します。(4)角膜実質にレーザーを約20~50秒照射します。(5)元の位置にフラップを戻し、2分ほど乾かし密着させます。その後は強くこすらない限りフラップがずれることはありません。両眼で約30分間で終了します。(6)手術後は1時間ほど休憩し、医師の診察を受けたら帰宅できます。

図4. (1)

図4.(1)手術開始前に点眼麻酔(目薬による麻酔)をし、開瞼器とよばれる器具で眼をあけます。

図4. (2)

図4.(2)フェムトセカンドレーザーなどで角膜のフラップ(蓋のようなもの)を作成します。

図4. (3)

図4.(3)フラップをめくり、角膜実質(角膜内部の組織)を露出します。

図4. (4)

図4.(4)角膜実質にレーザーを約20~50秒照射します。

図4. (5)

図4.(5)元の位置にフラップを戻し、2分ほど乾かし密着させます。

術後の生活

手術当日は異物感があったり、視界がぼやけて見えることも多いですが、ほとんどの場合、翌日には症状は軽減し視力も回復します。洗顔や洗髪は3日目から、入浴は翌日から可能です。仕事は一般事務職であれば翌々日から可能ですが、眼を酷使する業務や車の運転、汗をかくような労働は1週間は避けた方が無難です。運動は術後2週間後から可能ですが、激しい運動や水泳などは術後1か月後からとなります。

LASIK(レーシック)の利点・欠点

LASIKは痛みが少なく、安全性、確実性の高い半永久的な手術治療法で、これまで、眼鏡やコンタクトレンズが中心であった屈折矯正に新たな選択肢をもたらしました。この治療を受けることにより、眼鏡やコンタクトレンズのわずらわしさから解放され、趣味が広がってさらに充実した生活を送ることができたり、職業の選択肢が増えた方も数多くいらっしゃいます。しかし、LASIKも万能ではありません。適する方と適さない方がいること、夜間見づらくなるなど見え方の質に影響が出る場合があること、まれではありますが合併症が起きる可能性があることなどの欠点もあります。また、この手術は残念ながら保険診療の対象とはなっていません。手術を希望される方はこのようなLASIKの利点と欠点をよくお考えになり、納得のいくまで医師と話しあった上で手術を決定されるべきでしょう。

その他の屈折矯正手術

当院では、レーシック適応外の方で近視治療のご希望がある方に対して、有水晶体眼内レンズによる手術も行っています。有水晶体眼内レンズには数タイプあり、大きく前房型と後房型の2種類に分かれます。後房型は虹彩と水晶体(眼内のレンズ)の間(=後房)に人工のレンズを固定するものでICL(アイシーエル)と呼ばれ、当院では現在後房型のICLが主流です(図5)。ICLは1997年にCEマークを取得、2005年にFDAの認可を、2010年には厚生労働省に認可を取得しております。切開創が小さく、視力の回復が比較的早いといわれています。詳しくはホームページ(慶應義塾大学医学部 眼科学外部リンク)による情報公開も行っており、屈折矯正外来直通電話03-3353-0149へお問い合わせください。

図5. 後房型のICL (EVO+ Visian ICL®)

図5. 後房型のICL (EVO+ Visian ICL®)

文責: 眼科外部リンク
最終更新日:2018年2月20日

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