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アレルギー性結膜炎

あれるぎーせいけつまくえん

概要

アレルギーとは、外から入ってくる異物に対して、体が過剰に反応することで起こります。結膜は直接空気と接していますので、様々な異物が飛び込んできます。眼のアレルギーを起こす原因物質としては、ハウスダスト、花粉などが代表的です。ハウスダストの中にもいろいろなものがあり、ほこりの中に混じって生きているダニ、ダニの死骸(しがい)や糞(ふん)、ヒトや動物のフケや毛、カビなども含まれます。これらが無数のほこりとなって空中に舞い上がり、結膜に付着すると結膜炎を引き起こします。この中で特に問題になるのがヒョウヒダニ属のコナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニです。ヒョウヒダニは、温度が約25℃、湿度が70~80%の環境が もっとも繁殖しやすいといわれています。最近の住まいは気密性の高い窓が多く、冷暖房設備が整っています。この通気性 の悪い環境がダニにとっては好都合になるので、注意が必要です。またアレルギー性結膜炎は何歳でも発症する可能性がありますが、好発年齢としては図1のように10歳台が最も多く、年齢が高くなるにしたがって発症頻度が徐々に落ちていきます。

図1 アレルギー性結膜炎の年齢分布

アレルギー性結膜炎の年齢分布

アレルギー性結膜炎の分類

  1. 花粉症
    花粉が原因で生じるアレルギーです。花粉症を起こす植物としては、春先に多いスギ、秋に多いブタクサなどが有名ですが、花粉そのものが毒性を持っている わけではありません。花粉が体に入ってくると、「好酸球」という細胞が過剰に反応して、「ヒスタミン」などの化学伝達物質をたくさん作ってしまうことが花粉アレルギーの原因です。症状は眼のかゆみ・充血・異物感・目やになどです。花粉症では、毎年決まった季節に症状がみられることが特徴で、主な花粉の飛散時期は図2のようになります。6月、7月に花粉の飛散が少ないのは、梅雨によって空気が湿っている影響が大きいです。

    図2 花粉の種類別飛散時期(関東地方)
  2. 花粉の種類別飛散時期(関東地方)
  3. ハウスダストによるアレルギー性結膜炎(通年性アレルギー性結膜炎)
    ハウスダストによる結膜炎も、原因や症状は花粉症と同様です。(異物が花粉ではなく、ハウスダストであるという違いだけです。)しかし、ハウスダストは花粉と異なり、常に身の回りにあるので、一年を通して症状が慢性的にみられるのが特徴です。
  4. 春季カタル
    春季カタルはアレルギー性結膜炎の慢性重症型です。10歳くらいまでの男児に多く見られます。ハウスダストが原因となっていることが多いとされています。目のかゆみが非常に強いうえ、黒目(角膜)の表面に多くの小さな傷ができるために異物感が強く、光をまぶしく感じます。炎症が強いときは、角膜に白い混濁ができることがあります。ひどくなると、混濁部分で上皮が剥がれ落ちて「角膜潰瘍」という状態になることもあります。従来は、10歳を過ぎると症状は軽くなり、自然治癒することが多かったのですが、アトピー性皮膚炎を合併することが多くなった最近では、20歳代でも強い症状がみられる人がいます。
  5. 巨大乳頭結膜炎
    巨大乳頭結膜炎とは、上まぶたの裏に、大きなボツボツとした結膜乳頭による隆起が多数発生し、炎症を起こしている状態です。コンタクトレンズについたタンパク汚れの変性物に対するアレルギー反応が原因で、汚れたコンタクトレンズで発生します。異物感、くもり、目やになどが出るほか、重症になるとコンタクトレンズが上方にずれやすくなります。

症状

アレルギー性結膜炎の症状は、まず目やまぶたがかゆくなります。目をこすったり、かいたりしていると次第に痛みが加わり、目がゴロゴロした感じになります。そしてそのまま放っておくと結膜が充血して、まぶたが赤く腫れてきます。さらに症状が悪化すると、角膜周囲が充血して、結膜にゼリー状の目やにが出てきます。このような症状になる前に対処することが悪化させないために重要です。まず、目にかゆみがでてきた段階ですぐに眼科医を訪れてください。

診断

アレルギー性結膜炎は、実際の診療では充血やかゆみなどの症状や結膜の状態から診断すること多いです。客観的に確定診断をするには、目やにを採取し、顕微鏡でアレルギーででてくる炎症性細胞である好酸球がいるかどうかを観察したり、アレルギー疾患で涙液中、血清中濃度が上昇する免疫グロブリンであるIgE量を測定して診断したりします。アレルギーを起こしている原因物質を調べる方法には、皮膚をこすって疑わしい物質のエキスを乗せ、その部分が赤くなるかどうかを見る「スクラッチテスト」や、血液検査などがあります。

治療

抗アレルギー作用をもつ目薬を用いた治療が主に行われます。花粉症の場合、あらかじめ季節が判明しているときは、かゆみなどの自覚症状が出現する前に目薬をつけ始めることで、症状の出現を予防したり、軽くしたりすることができます。抗アレルギー点眼薬にはヒスタミンH1拮抗(きっこう)点眼薬とメディエーター遊離抑制(ゆうりよくせい)点眼薬の2種類があります。ヒスタミンH1拮抗点眼薬はかゆみを引き起こすヒスタミンの作用を直接阻止するので、主にかゆみの強いときに処方されます。メディエーター遊離抑制点眼薬はヒスタミンなど を増やさないようにする作用がありますが、効果が現れるまで2週間くらいかかるため、症状が現れる前から使い始める必要があります。抗アレルギー点眼薬は 比較的副作用の少ない薬です。使用中は勝手に中断することなく医師の指示に従って使うことが大切です。また、重症になると副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)点眼薬が用いられます。目薬だけで症状が治まらないときには、抗アレルギー薬を内服することもあります。前述した春季カタルなどの重症例では、少量のステロイド薬を内服したり、結膜へのステロイド薬の注射などを併用したりすることもあります。
以上の治療法は、症状を抑える「対症療法」といわれる方法です。これに対し、アレルギーのそのものを改善する方法として、「減感作療法」という治療法が あります。これは、アレルギーの原因が検査で明らかである場合に、その原因物質を低い濃度から徐々に高い濃度へ半年ぐらいかけて注射することにより、その物質にアレルギー反応を起こさないようにする方法です。

アレルギー性結膜炎の予防方法

花粉症の場合は、症状の出現しやすい季節にできるだけ花粉と接しないように工夫することが重要です。ゴーグル型の眼鏡や花粉防止用のマスクの着用が効果的です。花粉が飛びやすい日は外出や洗濯物などを外に干すことを避ける、外出から帰宅したときには服についた花粉を十分に落とすことも有効です。洗眼を頻回に行うことは目を傷つけてしまうこともあるため、あまりすすめられません。ハウスダストの場合は、部屋の清潔を心掛けたり、寝具を干したりするのも効果的です。また動物を屋内で飼うことは避けたほうがよいでしょう。

慶應義塾大学病院での取り組み

眼科アレルギー外来では、重症な春季カタル、アトピー性角結膜炎の患者さんを中心として診療を行っています。そういった重症のアレルギー性結膜炎は、短い期間で治療が終わるものではなく、長期間の継続した治療が必要になってきます。抗アレルギー点眼薬やステロイド点眼薬の治療では安定しない患者さんに対して、生活習慣の改善から指導し、免疫抑制剤点眼も組み合わせた治療を行っています。また点眼治療では改善しない進行性の巨大結膜乳頭に対しては外科的切除も行うことがあります。

文責: 眼科外部リンク
最終更新日:2011年12月28日

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