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骨粗鬆症(整形外科)

こつそしょうしょう

概要

骨粗鬆症は「骨量の減少ならびに骨組織の微細な構造や骨質の劣化によって骨が脆弱になり、骨折をきたしやすくなった全身性の骨疾患」のことをいいます。低骨量をきたす疾患には、閉経後骨粗鬆症・続発性骨粗鬆症(内分泌疾患にともなうもの・薬物投与によるもの・関節リウマチ)などがありますが、近年、骨強度は骨密度だけでなく、骨の質(微細構造・代謝回転・微小骨折・石灰化)が重要であることが明らかになってきています。

高齢社会の到来に伴い、骨粗鬆症の有病率は 50歳以上の女性の24%、50歳以上の男性の4%を占め、最新の統計では約1,280 万人といわれています。脆弱になった骨が折れるのを予防するためには早期診断が重要で、X線検査による既存骨折の有無や骨密度測定・性別・年齢・閉経や危険因子(ステロイド使用)の有無などをもとに診断され、薬物治療をはじめとしたさまざまな治療が行われます。わが国における大腿骨近位部骨折の発生数は年間約19万件とされています。さらに頻度が高い骨粗鬆症性椎体骨折は、多発化したり、骨癒合しない例では強い疼痛や脊髄神経の麻痺を稀にきたし、寝たきりを余儀なくされることも少なくありません。

症状

骨粗鬆症が原因で生じた脊椎骨折では急性期だけでなく、その後、徐々に背中が曲がり上体の前傾によって腰背部の筋肉が緊張すると、しばしば起立や歩行時に強い腰背部痛がおこります。脊椎はひとつ骨折を起こすと、さらに2つ以上の骨折が起こりやすくなるとされるので、最初の骨折を予防することが重要となります。また、椎体後方の骨片が正常に骨癒合せず、異常な動きをしめし脊柱管(脊髄神経の通り道)に突出すると、神経の圧迫により遅発性に下肢のしびれや痛み、筋力低下や排尿障害などの症状が現れることがあります。また、太ももの骨(大腿骨)が骨盤のすぐ近くの根元(近位部)で折れる大腿骨近位部骨折では、起立・歩行は不能となり、寝たきりの大きな原因の1つともなることから、高齢者に対しても手術的治療を行うケースが少なくありません。

診断

既往歴・生活習慣・家族歴・閉経時期などを聴取し、身長と体重・背骨の弯曲・疼痛部位などを診察し、4 cm以上の身長の短縮や円背などの身体所見を有する場合は、積極的にX線検査や骨密度検査を行うことをすすめます。骨密度撮影は、おもに脊椎と大腿骨で行われ、骨密度値が若年成人平均値の70%未満(あるいはT scoreで-2.5SD未満)、または女性では閉経以降・男性では50歳以降で、すでに椎体あるいは大腿骨近位部に脆弱性の骨折がある場合は骨粗鬆症と診断されます。また、X線検査で骨折が確認され、疼痛や下肢のしびれが持続する場合は、MRIを撮影して脊髄神経への圧迫の有無や腰部脊柱管狭窄症の合併、骨癒合の状態とその後の予後予測について検討します。

治療

骨粗鬆症の治療目標は骨折の危険性を抑制するための、栄養・運動・薬物療法からなります。一般的にカルシウムの摂取目標量は800mg以上が必要と言われており、魚類やきくらげに含まれているビタミンD、納豆や緑黄野菜に多く含まれるビタミンKの摂取が推奨されます。運動の励行は骨量の低下を抑制し、骨折防止に対しても有効で、散歩や背筋を鍛えるような運動が望ましいとされます。

薬物療法が、骨粗鬆症による骨折の危険性を軽減させることが10年以上前に明らかにされ、現在は作用機序の異なるさまざまな薬剤が開発されています。なかでも、ビスホスホネートは、骨吸収が亢進した高代謝回転型の骨粗鬆症に対してだけでなく、ステロイド性骨粗鬆症のように骨形成の低下している例にも骨強度増強効果を示し、一部の基礎疾患による骨粗鬆症を除いて有効です。最近ではゼリー製剤や点滴、静注製剤などの投与法の異なるもの、ウィークリーやマンスリー等の長期製剤も登場しています。選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)は、体内の特定の部位で卵胞ホルモンであるエストロゲンと同様の働きをして、骨吸収を抑制します。活性型ビタミンD3製剤は特にカルシウムが不足となっている症例や、転倒頻度が高く骨折をおこしやすい高齢者に使用されます。ビタミンK2製剤は骨量を有意に増加させないものの、骨折予防効果が期待されています。カルシトニン製剤は鎮痛作用を有し疼痛を改善しますが、骨折の防止効果は強くありません。また、ビフォスフォネートやSERMといった骨吸収抑制剤に対し、骨形成をあげることが期待される副甲状腺ホルモン(PTH)製剤も、投薬期間の制限があるものの骨折予防効果があります。さらに、生物学的製剤として破骨細胞分化に必須のサイトカインであるRANKLに対する抗体製剤が登場し、薬物治療の幅が広がっています。

骨粗鬆症を基礎疾患とした骨折では脊椎の椎体骨や、大腿骨近位部、手関節部や上腕骨近位部での骨折の頻度が高くなります。脊椎骨折の治療法として急性期には体幹ギプス固定、コルセット装用による保存的治療が行われ、多くの症例では炎症を抑える薬(湿布薬や塗り薬などの外用剤、消炎鎮痛剤や坐薬など)の併用によって疼痛が軽快します。しかしながら、一定期間の保存療法を行ったにも関わらず骨折部が骨癒合せず、同部での異常な動きによって神経症状がみられる場合は、手術的治療を行うことがあります(図1,2参照)。大腿骨近位部骨折では骨頭に近い近位部骨折では大腿骨頭置換術が、またより遠位での骨折では骨接合術など、高齢者にも積極的な手術的治療が行われます。手関節部や上腕骨近位部での骨折に対しても、ギプス固定などの保存的治療に加えて、創外固定や骨接合術による手術的治療も行われます。

図1 後方短縮術による脊柱の矯正と固定(脊椎の後方部分を切除し圧縮力を加えて後弯を矯正する)

図1 後方短縮術による脊柱の矯正と固定(脊椎の後方部分を切除し圧縮力を加えて後弯を矯正する)

図2 椎弓根スクリューを併用した椎体形成術(骨折した椎体にリン酸カルシウムセメントを充填し安定性を獲得する)

図2 椎弓根スクリューを併用した椎体形成術(骨折した椎体にリン酸カルシウムセメントを充填し安定性を獲得する)

生活上の注意

若年者では運動やカルシウム摂取が推奨され、中高年者では骨粗鬆症の早期発見が重要とされます。また、骨量がすでに低下している高齢者においては、骨量の維持とともに転倒の防止が重要です。転倒は骨折発生原因の90%以上を占め、転倒を防止すれば骨折を防ぐことが可能です。転倒には、筋力低下・歩行障害・視力障害、バランス不良・認知障害などの内因性の要素だけではなく、薬剤の副作用や生活環境因子が影響します。

慶應義塾大学病院での取り組み

骨粗鬆症の診断および治療薬の効果判定にはX線検査(脊椎)、骨密度検査(DXA:二重エネルギーX線吸収)と骨代謝マーカー(骨形成・骨吸収)測定を行っております。また、世界保健機関(WHO)により開発された、今後10年間の骨折リスクを評価するFRAX (Fracture Risk Assessment Tool)に基づくアンケート調査を実施し、診断の一助とする試みを行っております。

さらに詳しく知りたい方へ

文責: 整形外科外部リンク
最終更新日:2017年4月18日

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