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分娩

ぶんべん

概要

分娩は、胎児とその付属物(胎盤、臍帯、羊水)、産道(通過部位)および娩出力(陣痛や腹圧)といった要素が互いに適切に作用することにより経過します。

妊娠末期に出現する不規則な子宮収縮が規則的にみられるようになり、1時間に6回以上認められた時点を「分娩の開始」とします。陣痛の間隔が短くなり痛みが強くなってくると、子宮口が開大し始め、子宮口が全開大(10cm開くこと)すると児頭の下降が進み胎児が娩出されます。胎児娩出後に胎盤が娩出されます。これらに異常がある場合には分娩の進行が障害されます。

異常分娩

以下に異常分娩の代表例を挙げます

  1. 胎位異常
    胎位とは、子宮と胎児の長軸の位置関係を示すものです。胎児の部位から頭位、骨盤位、横位に分類されます。胎児の中で一番大きな部位である頭部が最初に分娩される頭位が正常な胎位とされます。
  2. 微弱陣痛
    子宮の収縮が不十分なため、分娩が進行しない状態を指します。子宮収縮薬の投与による陣痛促進が必要となります。
  3. 児頭骨盤不適合(じとうこつばんふてきごう)
    母体の骨盤が狭い(狭骨盤)、もしくは児頭が骨盤より大きく、骨盤内に進入しない状態を指します。
    児頭骨盤不適合では十分な強い陣痛にも関わらず分娩が進行しないため、帝王切開術が必要です。
  4. 回旋異常
    正常の分娩過程では、胎児の頭部は向きを変えながら産道を下降します。これは狭い骨盤内を上手に通過するために必要な現象であり、「回旋」と言います。具体的には、母体に対して最初横を向いていた胎児は分娩の進行とともに頸部を軽く前屈し、母体の背中を向く様に回旋します。この一連の機転が適切に行われないことを回旋異常と呼びます。回旋異常が起きると、胎児が産道を通過できなくなる危険性が高まります。回旋異常のため分娩が進行しない時には、帝王切開術が必要です。
  5. 胎児機能不全
    妊娠の項目をご覧ください。

分娩時の処置

代表的な分娩時の処置を挙げます。

  1. 会陰切開術
    会陰(えいん)とは、腟入口部から肛門にかけての部位を指します。分娩時の腟壁裂傷や児へのストレスを軽減するため、必要に応じて局所麻酔下で会陰を切開することがあります。
  2. 帝王切開術
    経腟分娩が困難・不可能と判断される場合に選択される産科手術です。
  3. 吸引分娩
    児頭にカップを装着し、陰圧をかけて牽引することにより児を娩出する方法です。通常は、母体の腹部(子宮底部)を圧迫して分娩を補助する、胎児圧出法を併用します。
  4. 陣痛促進と誘発
    自然のまま経過をみると母児に危険が及ぶことが予想される場合には、子宮収縮薬を用いて子宮収縮を誘発・促進し、経腟分娩をサポートします。
    以下は代表的な子宮収縮薬の使用例です。
    • 予定日を1週間以上過ぎても陣痛が始まらない場合
    • 破水し、かつ陣痛が始まらない場合
    • 母体疲労などのため陣痛力が弱く(微弱陣痛)、分娩経過が著しく長引いている場合
    • 妊娠高血圧症候群などの合併症のため妊娠の継続が危険と考えられる場合
    分娩に十分な陣痛が得られるまで徐々に投与量を増やします(持続点滴女静脈内投与)。この際、子宮収縮が強くなり過ぎることを避けるため、輸液ポンプを用いて子宮収縮剤の投与量を厳密に調整します。同時に分娩監視装置を腹部に装着し、胎児の元気さや陣痛の強さ・間隔を連続的に監視します。

産痛緩和のための処置

代表的な方法として、脊髄の近い場所に鎮痛薬を入れる脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔と、鎮痛薬を静脈内投与する方法があります。

  • 脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔
    子宮口が3~5cm開く頃に、背中の奥に薬を注入するための細い管を入れ鎮痛薬を投与します。鎮痛薬の静脈内投与と比べると処置がやや煩雑ですが、強い鎮痛効果があります。「手術の麻酔」の項目もご覧ください。
  • 鎮痛薬の静脈内投与
    鎮痛薬を点滴投与します。処置が簡便ですぐに施行できることが特徴ですが、鎮痛効果には個人差があります。

文責: 産科外部リンク
最終更新日:2017年11月21日

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