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小児悪性腫瘍

しょうにあくせいしゅよう

概要

子どものがんは専門的には肉腫という悪性腫瘍で、できる場所や組織の形も異なります。しかしここでは小児がんとして一括して呼ぶことにします。小児のがんには 1. 神経芽腫 2. 肝芽腫 3. 腎芽腫(ウィルムス腫瘍) 4. 横紋筋肉腫 5. 悪性胚細胞腫(悪性奇形腫) などがあり、それぞれできる場所や病理組織に特徴があります。いずれも生まればかりの赤ちゃんから中学生までのお子さんに発生する腫瘍です。これらの病気の治療には腫瘍を専門とする小児科医と経験の深い小児外科専門医、整形外科腫瘍専門医、放射線治療医および診断医ならびに小児がんを専門とする病理専門医がチームを組んであたらなければなりませんが、慶應義塾大学病院では小児がんの治療のためのチーム(Pediatric Tumor Board)が同じ病棟の中で患者さんを中心として活動を行っており、すぐれた治療成績を挙げています。

神経芽腫

神経芽腫は副腎、背骨の横にある交感神経節と呼ばれる自律神経からできる腫瘍で、7~8割の患者さんで尿にVMAやHVAというホルモンの代謝物が増えていたり、血液の中のNSEという腫瘍マーカーが増えていることが診断の助けになります。これまで日本では生後6カ月の時点ですべての乳児の尿検査を行ってきましたが(マススクリーニング)、マススクリーニングが全体の治療成績の向上に役立っているという事実が示されなかったために現在は国の事業としては行われていません。神経芽腫は他のがんに比べていくつかの特徴があります。1歳未満のお子さんの予後は他の年齢層のお子さんに比べて良好で、さらに新生児や胎児期に見つかった腫瘍の中には自然に消えて行ってしまうものもあるという性質があります。また、腫瘍のもっているn-mycという遺伝子が増えている腫瘍はそうでないものに比べて悪性度が高いということも知られています。現在、これらの特徴を踏まえて、神経芽腫ではリスク分類が行われており、それに対応した治療が行われています。

治療の規範は化学療法と手術ならびに放射線治療ですが、いくつかのリスクグループでは臨床試験*を行っています。(*:新しい治療方式がこれまでの治療に比べて有効であるかについて行われる患者さんを対象とした研究的治療で、常に倫理委員会と参加される患者さんの承諾を得て行われます。) 神経芽腫の診断にはMIBGというアイソトープが用いられますが、これを利用して手術中に微量の放射線を検出しながら腫瘍やリンパ節の切除を行うラジオガイド手術も、唯一当院で行われています。さらに、腹腔鏡による腫瘍切除術も行われており、従来の開腹手術との比較が行われています。神経芽腫の転移は骨に見られることが多く、特に背骨や大腿骨、頭蓋骨への転移が起きやすいことが知られています。また、骨髄のなかに腫瘍が転移することもあり、骨髄移植や末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法が必要となることがあります。

肝芽腫

子どもの肝臓にできる肝芽腫はAFP(αフェトプロテイン)という胎児性の蛋白質が血液の中で増えており、最近の研究では未熟児での発生頻度が高いことが知られています。残念ながら偶然画像検査で見つかる場合を除き、多くは腫瘍が大きくなり、お腹の上からこぶとして触れる状態で発見されることが多い病気です。この肝芽腫の治療成績の良し悪しの主因は外科手術であることがすでに明らかになっています。当院ではこれまで他院で手術不能とされてきた患者さんの外科手術に挑戦し、肝臓移植を含めすぐれた成績を挙げています。

腎芽腫(ウィルムス腫瘍)

腎臓にできるウィルムス腫瘍は近年その治療成績が非常によくなっている腫瘍ですが、いくつかの特殊な組織の形ではその成績は不良です。この腫瘍でも外科手術と化学療法の組み合わせが小児外科と小児科のチームワークでシームレスに行われています。この腫瘍は肺に転移することが多いのですが、化学療法の有効性が示されています。治療法については米国NWTSに準じたガイドラインがわが国でも広く用いられていますが、ヨーロッパを中心としてSIOPのガイドラインも用いられています。ふたつのガイドラインのコンセプトの違いは副作用や有害事象といった患者さんに対する負担軽減と、腫瘍に対する治療への比重の違いにあります。この点については担当医の意見を十分聞くことをお勧めします。

横紋筋肉腫

横紋筋肉腫は体中のどこにでもできる軟部組織の腫瘍ですが、とくに髄膜の近くや喉の付近、眼窩、胸壁、後腹膜、下肢の筋肉、肛門や会陰部、泌尿生殖器などを原発部位とする悪性腫瘍です。その発生部位と腫瘍の組織型(胎児型、胞巣型という二つの組織型があります)、ならびに腫瘍の進展度から低リスク、中間リスク、高リスクの3つのリスクに分類され、リスクに応じた治療が行われます。胞巣型腫瘍は胎児型腫瘍に比べて悪性度が高く、PAX3-FKHR,PAX7-FKHRというキメラ遺伝子が認められることがあります。治療は他の腫瘍と同様化学療法と手術、放射線治療の組み合わせになりますが、わが国ではこれまで欧米の治療成績に比べて生存率が10~15%低いことが問題となり、慶應病院小児外科が事務局となって全国規模の臨床試験が行われています(日本横紋筋肉腫研究グループ:JRSG)。この臨床試験では化学療法のほかに手術や放射線治療の詳細なガイドラインが示されており、今後の治療成績の向上に資することが期待されています。

悪性肺細胞腫(悪性奇形腫)

悪性胚細胞腫(悪性奇形腫)は肝芽腫と同様AFPが腫瘍マーカーとなる腫瘍です。乳幼児に多い腫瘍で、性腺や後腹膜、仙尾部、頭蓋内に発生します。奇形腫の中には未熟な組織を含むものがあり、新生児期の良性成熟奇形腫の手術後にも悪性奇形腫が発生することが知られています。化学療法がよく効く腫瘍ですが、良性な部分はこれに反応せず主としてお腹の中で増殖し、臓器の圧迫症状をきたす場合があり(growing teratoma症候群といいます)、適切な外科手術が必要となります。

マススクリーニングが中止された現在、子どものがんの早期発見にはご家族の普段の観察が大切です。微熱が持続したりお腹や体にしこりやこぶのようなものを感じたら直ちに専門医の診察を受けることをお勧めします。小児がんは「治る病気」ですが、なかには治療法も確立されていないいわゆる希少腫瘍と呼ばれるものもあります。今後の治療開発のための取り組みが行われています。

文責: 小児外科外部リンク
最終更新日:2014年11月28日

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