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月経異常・排卵障害

げっけいいじょう・はいらんしょうがい

生殖年齢にあるヒト女性の子宮内膜は約1ヶ月のサイクルで剥離・脱落・再生を繰り返す組織です。一般に「生理」と呼ばれる、この剥離・脱落による子宮内膜の排出は性器出血として現れ、医学用語では「月経(げっけい)」と言います。

月経異常とひとくちに言っても、期間の異常、サイクルの異常、疼痛など様々です。子宮内膜は排卵のあと妊娠が成立しない場合に、剥離・脱落して出血するので、排卵が障害されると必然的に無月経や月経不順などの月経サイクル異常となります。

月経痛の異常

剥離・脱落した子宮内膜を腟へ排出するために、子宮筋が収縮することにより起こる収縮痛が月経痛(生理痛)の本態です(図1)。月経痛の程度を絶対的に評価する方法はないので、治療の有無はもっぱら患者さんの生活クオリティに対して、月経痛が及ぼす悪影響を相対的に評価して決まります。約8割の女性が月経痛を感じ、4人に1人が鎮痛剤を使用していると言われています。月経痛の原因には様々あり、子宮筋腫子宮内膜症などに対しては手術や薬物療法などの原病の治療が行われます。はっきりとした原因のわからない機能的月経痛に関しては、低用量ピルなどのホルモン治療や漢方療法が効を奏することが少なくありません。また心因的疼痛もあり鎮静剤やカウンセリングによって痛みが軽減することもあります。当院では行いませんが、実際に偽薬でも30から40%の人で疼痛が軽減するとも言われています。

一方、月経期間中ではなく、月経前に消化器症状(下痢、便秘など)や乳房症状(乳緊など)、血管運動神経障害様症状(のぼせ、いらいら、浮腫、うつなど)が出るものを月経前緊張症といいます。こちらも重症度にあわせて、適宜鎮痛鎮静薬、低用量ピル等のホルモン製剤による薬物療法や心理療法を行うことで症状が軽減します。

正常な女性内性器の構造と月経痛

図1:正常な女性内性器の構造と月経痛

月経期間/月経量の異常

期間の正常範囲は3から7日間(図2)。2日以下で終わってしまうものを過短月経、8日以上の長期にわたるものを過長月経と呼びます。いずれも排卵障害に伴うことが多いので、後述の排卵障害に対する治療で治ることが少なくありません。

月経量の正常は30から150mLとされますが、実際の測定は困難であり、月経痛同様に治療の有無は患者さんの生活クオリティへの悪影響で決まります。多いものを過多月経と称し、多い出血により貧血を呈している場合は生活への影響とは別に治療対象となります。原因としては子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ子宮内膜増殖症などが多いので、貧血への対症療法とともに、原病への治療が行われます。

正常月経周期の子宮内膜と月経異常

図2:正常月経周期の子宮内膜と月経異常(量とサイクルの異常)

月経サイクル

月経サイクルの異常を説明する前に正常な月経周期のメカニズムについて概説します(図3)。サイクルの異常は、この正常なリズムを支えるメカニズムのいずれかが障害された結果起こってきます。

月経中からすでに卵巣内では排卵に向けて、小さな卵胞(卵細胞を包む袋状の構造物)が成長を開始しています(図3-1)。この成長に伴って、卵巣からは卵巣ホルモンのひとつであるエストロゲン(E2)が分泌されて行きます(図3-2)。同時に脳の下垂体からは卵胞の成長を促す卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され(図3-2)、卵胞のさらなる成長が起こります(図3-3)。分泌の増えるエストロゲンによって、月経で菲薄化した子宮内膜は増殖を繰り返し、再び厚さを増していきます(図3-4)。

増え続けるエストロゲンが引き金となって、脳下垂体からの黄体化ホルモン(LH)が一気に分泌を増やします(図3-5)。このLHの急上昇が引き金となって、卵巣では排卵が起こります(図3-6)。この排卵によって基礎体温は上昇して高温期を形成します(図3-7)。したがって基礎体温表が二相性になるというのは排卵しているということを示しています。この基礎体温の上昇は排卵後の卵胞が黄体と呼ばれる構造物に変化し(図3-8)、そこから黄体ホルモン(プロゲステロン)を盛んに分泌することで起こります(図3-9)。この黄体ホルモンによって子宮内膜は着床に適した状態になり粘液を産生する分泌期となります(図3-10)。ところが受精卵が着床せずに妊娠が成立しないと、卵巣や脳下垂体からの分泌ホルモンは一気に低下し(図3-11)、子宮内膜を支えられず剥離・脱落が起こります。これが月経です(図3-12)。黄体ホルモンが低下するために基礎体温も低温期となります(図3-13)。

正常排卵周期のホルモン値・基礎体温・卵胞径・子宮内膜の相関

図3:正常排卵周期のホルモン値・基礎体温・卵胞径・子宮内膜の相関

月経サイクルの異常

月経周期は25から37日とされていますので(図2)、24日以内に月経が頻発するものを多発月経と呼びます。性器出血が頻発するために貧血となることがあります。また、排卵周期が早いことよりも排卵障害による無排卵出血であることが少なくないので、排卵の確認をすることが必要です。基礎体温を計測し(図3)、二相性になることを確認できれば排卵していることがわかります。排卵障害がある場合は、排卵してはじめて十分量分泌する黄体ホルモン(プロゲステロン)が不足しますので、骨形成、皮膚の代謝や記憶力などに衰えを魅せることがあります。また、子宮体癌の発症率が高まると言われています。

一方、月経は発来しても38日以上の間隔であったり、月経が来なくなってしまった場合、稀発月経あるいは無月経と診断します。いずれも排卵障害によるものです。つまり無排卵症状ですので、上記のようなトラブルが待っています。

排卵できない原因としては、多嚢胞性卵巣症候群と呼ばれる卵巣の機能異常や、最近増加傾向のストレスやダイエットを引き金にする視床下部性排卵障害があります。ダイエットではなく拒食症であっても同様に視床下部性無月経が引き起こされます。食行動の異常を伴う場合には、時間をかけたカウンセリングも必要となりますので、精神神経科と併診としたりします。

また、鬱病の罹患が増えていますが、抗うつ薬などの精神安定剤の服用によって脳下垂体からのプロラクチン(通常は産後に分泌されて、妊娠中辛の排卵停止の維持と乳汁分泌の促進に役立ちます)分泌が高まって排卵障害を起こすことも少なくありません。この場合も精神神経科と相談しながらの治療となります。

平均50から53歳と言われる閉経が若年で来てしまう早期卵巣不全(かつて早発閉経と呼ばれていたもの)も最近増加傾向で問題になっています。この疾患も多嚢胞性卵巣症候群同様に原因がいまだにわかっていないので特効的な治療法がないのですが、頻度は少ないですが20歳代からでも起こりうる(1万人に1人)恐ろしい病気で、卵巣内から卵細胞が消えていってしまう病気です。30歳代で1000人に1人、40歳代で100人に1人に発症します。排卵誘発剤の治療にも抵抗性のため、重篤な不妊症になってしまいます。

他に数は多くありませんが下垂体腫瘍による高プロラクチン血症、逆に下垂体腫瘍手術後の下垂体ホルモン分泌低下による無月経や、卵巣癌や白血病などで抗がん剤による化学療法を行った場合なども卵巣機能が低下して排卵障害となります。

排卵障害の原因は非常に広範囲にわたり多彩ですので、月経サイクルに異常を感じた場合は、基礎体温表をつけるとともに、専門医への受診をお薦めします。当院では午前中の産科不妊初診におかかりのあと、挙児希望の有無に応じて、不妊外来あるいは月曜日・金曜日午後の思春期ホルモン外来で診療しています。

月経異常・排卵障害と関連する代表的な病気

子宮筋腫
子宮内膜症
子宮内膜ポリープ
子宮内膜増殖症
多嚢胞性卵巣症候群

文責: 産科外部リンク
最終更新日:2011年12月28日

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