音声ブラウザ専用。こちらよりメニューへ移動可能です。クリックしてください。

音声ブラウザ専用。こちらよりメインコンテンツへ移動可能です。クリックしてください。

KOMPAS 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト
お探しの病名、検査法、手技などを入れて右のボタンを押してください。
慶應義塾
HOME
病気を知る
慶應発サイエンス
あたらしい医療
KOMPASについて

ホーム > 病気を知る > こころの病 > 身体症状症(旧:身体表現性障害)

身体症状症(旧:身体表現性障害)

しんたいしょうじょうしょう(きゅう:しんたいひょうげんせいしょうがい)

概要

どのような病気なのでしょうか?

身体症状症は患者さんの自覚症状に見合う身体的異常や検査結果がないにもかかわらず、痛みや吐き気、しびれなど多くの身体的な症状が長い期間にわたって続く病気です。患者さんの中には、体に力が入らくなったり、けいれん発作のような症状が出現したりすることもあります。症状は体のさまざまな場所に生じ、しばしば変化します。患者さんの中には、症状を身体的に説明する原因がないということが受け入れられず、医療機関を転々としてしまい、精神科受診に至るまでかなりの時間がかかってしまう方もいらっしゃいます。また、多くの患者さんは、そうした身体症状のために仕事、学校や家庭などにおける日常生活に支障が出ています。

近年のアメリカを中心とする精神科診断の分類の整理や、日本語病名の検討委員会の話し合いから、新しい分類や呼称が使われるようになりました。以前はこの章で扱われる病気は「身体表現性障害」と分類されていましたが、重複があったり境界があいまいだったりしたことから、新しい呼び名では「身体症状症および関連症候群」と呼ぶことになりました。以下では、新しい名称を使いながら、一部、古い名称をも併記しながら説明します。

症状

代表的な身体症状症

「身体症状症および関連症群」に分類される病気にもいくつかの種類があります。そのうち代表的なものを以下に示します。

身体症状症

痛みや胃腸症状などのさまざまな身体症状が続くが、適切な診察、検査を行っても身体的な病気や薬による影響としては十分に説明できない、という病状です。痛みが主なものを、従来は疼痛性障害と呼んでいました。

病気不安症

重い病気である、病気にかかりそうだという気持ちが非常に強くなる病状です。身体の病気は存在しないか、あるいは存在したとしてもごく軽度で、気持ちの状態と実際の身体的な状態とに大きなギャップが生じます。従来は心気症と呼ばれていました。

変換性/転換性障害(機能性神経症状症)

力が入らない(脱力・麻痺)、筋肉の強い突っ張り、歩けない、などといった運動に関する症状や、皮膚の感覚がおかしい、見えない(一部しか見えない)、聞こえない(聞こえにくい)、といった感覚の症状が出ます。他にも全身の筋肉がけいれんするてんかん発作のような症状が出現したり、意識を失ったかのような症状を生じたりすることもあります。あるいは、声が出ない、のどの中に何かの塊があるという感覚(ヒステリー球、と呼ばれます)もしばしばみられる症状です。

診断

原因は何でしょう?

心身の疲労や環境変化などのストレスが何らかの形で患者さんの症状の形成にかかわっているという考え方があります。しかし、必ずしもストレスが原因とは言い切れませんし、実際に脳の中で何が生じているのかは明確にはわかっていません。

どのように診断するのでしょう?

患者さんの訴える身体症状を引き起こすような身体的な病気が存在しないことが診断の大前提となります。内科や整形外科など、患者さんが困っている症状を通常担当する科で検査を受けていただき、本当に症状の元となるような病気がないことを確認します。身体的な疾患がないことが確認できたにも関わらず、さまざまな身体症状が持続するとき初めて身体表現性障害と診断されます。

うつ病や不安症などほかの精神疾患が合併することがあります。

身体症状症では、患者さん自身は紛れもなくその身体症状による苦痛を感じており、詐病や仮病とは異なります。

治療

どうすれば治りますか?

まず、身体的な問題はないということをきちんと理解、納得することが大切です。患者さんにとっては辛い症状なので、問題はないということを受け入れることに抵抗があるようです。しかし、身体的な精査や、検査結果に基づかない治療を繰り返すことでは症状は改善しませんし、症状に苦しむ時間が長引いてしまいます。

症状が比較的軽いときには、なるべく普段通りの日常生活を送ることが大切です。

精神科的な治療としては、下記のような治療法があります。

薬物療法

抗うつ薬や抗不安薬の使用が有効な場合があります。痛みの症状が強い人には、しばしばセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)と呼ばれるタイプの抗うつ薬を試します。

認知行動療法

症状が悪くなるきっかけや状況、逆に症状が良くなる因子を明確にし、症状が軽くなるような行動を促していきます。

精神療法

症状の原因となりうるストレスについて理解したり、その対処を考えていったりすることが症状のコントロールに有効です。

文責: 精神・神経科外部リンク
最終更新日:2017年3月6日

▲ページトップへ

慶應義塾HOME | 慶應義塾大学病院