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エイズ

えいず

概要

エイズ(AIDS)はAcquired Immunodeficiency Syndrome 「後天性免疫不全症候群」の略です。エイズはHIV「ヒト免疫不全ウイルス=通称エイズウイルス」によって起こる病気です。血液や体液(精液、膣分泌液や母乳など)に含まれるHIVが粘膜や傷口から体内に入り、さらにCD4と呼ばれる構造をもつリンパ球(CD4陽性リンパ球:リンパ球と略します)に入り込むと感染します。リンパ球の中で増えたHIVはリンパ球の外へ出て行き、新たなリンパ球に感染し増殖を続けます。その結果、リンパ球が次々と破壊され免疫能が次第に低下してゆきます。一般的に感染してから約10年で様々な日和見感染症(免疫力があれば問題にならない病原菌による感染症)や悪性腫瘍を発症し、エイズとなります(図1)。現在我が国では年々HIV感染者数が増加しています。背景には性的パートナーの増加など、性行動の変化が考えられます。また自分の知らないうちに、相手が不特定多数と接触している場合もあります。感染予防(コンドームを着ける)や早期発見(抗体検査を受ける)などの啓発が必要です。今後HIVの検査を受ける機会が普及すると、それまでわからなかった感染者が見つかり、その数は現在の約10倍に達すると予想されています。治療をしなければ一命にかかわる病気ですが、薬を使った治療法もめざましく進歩しています。ウイルスを体から完全に除くことは不可能ですが、定期的に薬を飲み続けることにより普段通りの日常生活を送っている人も大勢います。

図2 HIV感染後のウイルスマーカーの推移

図1 HIV感染後のウイルスマーカーの推移

症状

  1. 急性期(感染初期:感染後2週間~3ヶ月):発熱、のどの痛み、だるさ、筋肉痛、などの風邪やインフルエンザのような症状が出る場合があります。これらの症状は数週間でなくなり、次の無症候期へ移行します。
  2. 無症状期(感染後数年~10数年):感染初期を過ぎると、抗体を作りはじめます。抗体の作用により一度増えたウイルスが減少するため感染初期の症状はなくなり、症状のない期間が、約5~10年続きます。この無症状の期間は人によって差があります。
    しかし、HIVはリンパ球を破壊しながら増えつづけます。その結果リンパ球が次第に減少し、免疫力が低下してゆきます。患者さんによっては経過中に帯状疱疹(水ぼうそうのウイルスが痛みを伴う水ぶくれを作る)や口の中にカンジダ症(カンジダというカビで口の中や舌の表面が白くなります)を認めることもあります。
  3. エイズ発症期:免疫力がさらに低下すると、下痢や寝汗、急激な体重減少などを認めることがあります。そのうちに、正常な免疫力があればかからないカビ、原虫、細菌、ウイルスなどによる日和見感染症や悪性腫瘍、神経障害など様々な症状が出てきます。HIV感染者が指標疾患に罹患していることが確認されるとエイズと診断されます(表1)。治療を受けなかった場合、感染後の最初の数年間は毎年1~2%、その後は毎年およそ5%がエイズを発症します。HIVに感染してから10年たつまでに半数がエイズを発症し、最終的にはほぼ全例がエイズになります。

●真菌症

●細菌感染症

●腫瘍

  1. カンジダ症(食道、気管、気管支、肺)
  2. クリプトコッカス症(肺以外)
  3. コクシジオイデス症
  4. ヒストプラズマ症
  5. ニューモシスチィス肺炎
  1. 化膿性細菌感染症 (13才未満)
  2. サルモネラ菌血症
  3. 活動性結核
  4. 非結核性抗酸菌症
  1. カポジ肉腫
  2. 原発性脳リンパ腫
  3. 非ホジキンリンパ腫
  4. 浸潤性子宮頸癌

●原虫症

●ウイルス感染症

●その他

  1. トキソプラズマ症
  2. クリプトスポリジウム症
  3. イソスポラ症
  1. サイトメガロウイルス感染症
  2. 単純ヘルペス感染症
  3. 進行性多巣性白質脳症
  1. 反復性肺炎(1年に2回以上)
  2. リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成
  3. HIV脳症
  4. HIV消耗性症候群

表1 エイズの指標疾患 HIV感染者がこれらの疾患を合併しているとエイズと診断されます。

診断

一般的にまず血液中のHIVに対する抗体を調べます(スクリーニング法)。しかし、HIVに感染しても抗体が作られるまでに数週間から2ヶ月間を要します。そのため、感染初期に風邪のような症状で受診した場合に、実際にはHIVに感染しているのに抗体検査が陰性になることがあります(ウィンドウ期間)(図1)。そのため抗体検査が陰性でもHIV感染が疑われる場合にはしばらく時間をおいて再検査を行なう必要があります。また抗体検査では約0.2~0.3%が偽陽性(HIVに感染していないのに検査で陽性と判定されてしまう)となりますので、陽性と判定された場合には精密な検査(確認検査)を行います。抗体検査は保健所で無料で受けることができます。

治療

治療はHIVに対する治療と日和見感染症に対する予防および治療があります。

  1. 無症状期にHIV感染が発見された場合:直ちに抗HIV薬をはじめるとは限りません。まず、ウイルス量やCD4陽性リンパ球数を定期的に測定します。一般的にはCD4陽性リンパ球数を目安に抗HIV療法を開始します。治療開始の基準は新しい研究により常に変化します。最新の治療指針ではCD4陽性リンパ球数350/μlが治療開始の目安です。
  2. エイズ発症で診断された場合:エイズ指標疾患の種類によってはまず抗HIV療法よりは指標疾患に対する治療を先に行う場合があります。結核、ニューモシスチス肺炎、クリプトコッカス髄膜炎、サイトメガロウイルス感染症などがあたります。これらの感染症の病状が安定してからHIVの治療を開始します。

生活上の注意

HIV感染がわかったらHIV診療拠点病院を受診し、担当医、看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師などと相談し適切な治療、経過観察をうけることが重要です。

  1. プライバシーの保護:この疾患は法律により、保健所へ報告することが義務づけられていますが、その際には性別、年齢(何歳代)、感染経路を除き、名前、住所、年齢、職業など個人情報は通知されません。また、患者さんに相談をしないで医療従事者から病気の事がたとえ家族でも他の人に漏れることはありません。
  2. 病名を誰に伝えるか:HIV陽性のことを家族や知人、職場や学校など、どこまで誰に伝えるか、には決まりはありません。焦らず精神的に落ち着いてから十分に考えてから伝えることが大切です。また他人に病気のことをどのように伝えたらよいかについて相談を受けられる制度もあります。
  3. 医療費について:治療費は高額ですが、ソーシャルワーカーに相談しながら所定の手続きを進めれば、病状に応じて"後天性免疫機能障害"として障害認定を受けられます。認定をうけると身体障害者手帳が交付され、更正医療、心身障害者医療費助成制度を利用して医療費の公費負担を受けられます。
  4. 感染対策:健康な皮膚にHIVを含む血液が付着しても感染しません。しかし、男性の尿道口付近、女性の膣の周辺、口の中、肛門や直腸は皮膚ではなく傷つきやすい粘膜で覆われています。性交時にできる小さな傷からHIVが体内に入り込むこともあります。感染しないためにも感染を拡げないためにも性交時には最初から終わりまで正しくコンドームを装着することが大変重要です。HIVは握手、体に触れる、食事や回し飲み、共同浴場、トイレ、プール、シャワー、理容、美容などの日常行為では感染しません。
  5. 薬を続ける:現在使用されている薬剤はHIVの増殖を強力に抑制しますが、HIVを完全に体内から消すことは難しく、一旦治療を開始した場合には生涯継続する必要があります。一端抗HIV薬が開始されたら薬の効かない耐性ウイルスを生み出さないために定期的な受診と確実な服薬を継続することは最も重要です。特に内服が途中で中断してしまったことによる抗HIV薬耐性ウィルス発生で、治療が困難になる例が、近年増加しています。ここ数年で服薬回数が少なく(一般的に1日1回あるいは2回)、食事のタイミングに影響を受けない薬剤が使用可能になってきており、治療を行いやすくなっています。

役にたつサイト

財団法人エイズ予防財団外部リンク
ぷれいす東京外部リンク

慶應義塾大学病院での取り組み

我が国のエイズ診療はエイズ治療開発センター(ACC:東京都新宿区の国立国際医療センター内)を頂点として、全国を8つのブロックに分けそれぞれのブロックに計14箇所のブロック拠点病院があり、さらに各地域に拠点病院があり、これらの病院が連携をとりながら行われています(全国370箇所)。東京都には42箇所の拠点病院がありますが、慶應義塾大学病院は東京都エイズ中核拠点病院に指定され、医師、看護師、薬剤師、臨床検査科、微生物免疫学教室、ソーシャルワーカーがチームとなり診療にあたっています。障害者手帳取得や医療費の公費負担申請の手続きの支援もしています。またエイズの治療、経過観察を受けられる診療所との連携も進めています。

文責: 感染制御センター外部リンク
最終更新日:2011年12月28日

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