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悪性リンパ腫

あくせいりんぱしゅ

概要

悪性リンパ腫は、血液中を流れたり身体の中をめぐっているリンパ球という細胞が異常に増えることにより、首やわきの下のリンパ節がはれたり、身体の一部にしこりができる病気です。「悪性」と病名についていますが、治療により高い確率で治癒をめざすことができます。ただし、同じ悪性リンパ腫という病気の中でさらに細かく病型は分かれており、症状や治療効果はさまざまだということも知られています。一般的に悪性リンパ腫に共通していることを中心に書きますので、参考になさってください。

症状

  1. 多い症状の一つはリンパ節がはれることです。首、わきの下、足の付け根などが外から触れてわかりやすい代表的なリンパ節の場所です。痛みをともなうことはあまりありません。普通の人でも触れることがあるので、大きさが1.5 cm 以上あることが目安になります。
  2. その他の症状として、熱が出る・体重が減る・寝汗が多くなる、などがあります。
  3. 胃や大腸といった消化管にしこりや潰瘍ができたり、肝臓や脾臓といったお腹の臓器がはれる場合もあります。胸の中の縦隔と呼ばれる気管や食道の近くがはれることもあります。頻度は少ないですが、リンパ節以外がはれていてもリンパ腫である場合があります。

診断

  1. 生検と呼ばれる、はれているリンパ節やしこりをメスで切って顕微鏡でみることが診断に不可欠です(病理診断あるいは組織診断といいます)。一般的に局所麻酔を使って外来で対応できます。外から触れない場所の場合は、胃カメラ、大腸鏡、CTや超音波(エコー)を使い、針を刺して組織をとる場合もあります。検査によっては入院が必要になる場合があります。
  2. 病気の広がりを診断するために、骨髄検査や髄液検査という検査が必要になります。これは骨の中の骨髄という血液を作っている場所や、脳をとりまいている髄液という液体にリンパ腫の細胞がいるかをみる検査で、通常外来で施行します。検査結果が陽性の場合、通常治療後にも効果判定のため再度検査を行います。
  3. CTやPET/CTという検査を使って、はれがどの位広がっているかをみるのが治療方針を決める上で大切です(図1) 。糖尿病の方は検査結果に影響する可能性があるため、予め主治医へ申告してください。また、PET/CT検査はリンパ腫治療後の効果判定に有用である可能性がありますが、施行については健康保険の問題等があるため主治医との相談が必要です。
図1 リンパ腫の的確な治療方針の決定

図1 リンパ腫の的確な治療方針の決定

治療

悪性リンパ腫は大きくはホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫にわかれ、それぞれさらに病型がわかれます。治療方針は病型と病気の広がりにあわせて決定します。患者さんに対して行われる治療法には以下のものがあります。

  1. 化学療法(抗がん剤)
  2. 放射線療法
  3. モノクローナル抗体療法(主にリツキサン)
  4. 免疫放射線療法(ゼヴァリン)
  5. 造血幹細胞移植

また、同じ悪性リンパ腫であっても、比較的ゆっくり進行するものから早く進行するものまであります。悪性リンパ腫と診断されても、はれの程度が少なく、進行がゆっくりであると考えられる場合、治療をせずに様子をみるという選択肢をとることがあります。(図2)

図2 非ホジキンリンパ腫の種類

図2 非ホジキンリンパ腫の種類

【悪性リンパ腫の病期(広がり)】

治療方針を決める上で重要な情報になります。大きくわけると、横隔膜という胸と腹を分ける線より片側だけに病気がある場合を限局期(I 期・II 期)といい、横隔膜の両側、つまり胸側にも腹側にも病気がある場合を進行期(III 期・IV 期)といいます。(図3)

図3 悪性リンパ腫の病期

図3 悪性リンパ腫の病期

【非ホジキンリンパ腫の治療】

非ホジキンリンパ腫のうち、びまん性大細胞型リンパ腫・ろ胞性リンパ腫の進行期(III 期・IV 期)に対してはR-CHOP療法という化学療法とモノクローナル抗体療法を組み合わせた治療が標準的治療となっています。R-CHOP療法は3週間に1回行い、6~8回繰り返します。これらは点滴を用いた血管(静脈)からの薬の投与が中心となります。限局期(I 期・II 期)に対しては、3~4回のR-CHOP療法と放射線療法を組み合わせます。R-CHOP療法は外来で行われる治療ですが、発熱などの副作用が出ることがあります。そのため1回目の治療は約1~2週間入院していただくことになります。起こり得る副作用の詳細については、治療開始前に担当の主治医から説明させていただきます。また、ろ胞性リンパ腫の患者さんにおいては、R-CHOP療法終了後に部分寛解以上の効果を得た場合には、その後2年間にわたり、半年おきにリツキサンを用いた維持療法(1回は4週にわたり週1回点滴投与)を4サイクル施行しています。

【ホジキンリンパ腫の治療】

ABVD療法という化学療法が標準的治療として確立しています。ABVD療法は2週間に1回の点滴注射を行います。進行期(III 期・IV 期)に対しては12回から16回のABVD療法を行います。限局期(I 期・II 期)に対しては4回の点滴注射を行った後に、元々あった病気の部位に放射線治療を行うことが一般的です。

生活上の注意

化学療法を受けられている間は、骨髄抑制といって抗がん剤の影響で血液中の白血球・赤血球・血小板が一時的に減ります。白血球が減っている期間は肺炎などの感染症を起こしやすくなると考えられますので、外出から帰宅された時のうがいや手洗いをしっかりしていただくことが大切です。外出を過度に控えたり、極端に人ごみを避ける必要はありません。38℃以上の発熱時には、外来治療が困難な場合があり、その際には抗菌薬投与等のため入院を指示する場合があります。食事により治療効果が影響を受けることはありません。特別にある食事が治療の助けになるとか、逆にこの食事はいけないということはありません。バランスのよい食事を心がけることが大切です。また、治療中の重労働と長期の旅行は望ましくありませんが、軽作業は通常可能です。詳しくは主治医とよく相談をしましょう。

慶應義塾大学病院での取り組み

一度治療が効いたにもかかわらず再発してしまった方に対して、積極的に造血幹細胞移植を行う方針としています(ただし年齢や合併症の有無により制限がかかる場合があります)。また、新しい薬剤の治験にも積極的に参加しており、データの収集を計るとともに患者さんへ新しい薬剤の提供できる機会をつくる努力をしています。さらに治験とは別に、一部の再発難治性B細胞リンパ腫患者さんを対象にリツキシマブ(リツキサン)併用ベンダムスチン(トレアキシン)治療の効果と安全性を検証する臨床試験も行っています。

文責:内科学(血液)
記事作成日:2009年2月1日
最終更新日:2011年12月28日

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