湿布とは
炎症を鎮めて患部の回復を早める働きをします。
大きく分けて冷感湿布と温感湿布の2種類があります。
<冷感湿布>
発熱時に用いられ、サリチル酸やハッカ油等の作用により、皮膚の温度を3~4.5℃も低下させます。寒冷刺激を与えて局所の血管を収縮させ、その結果、新陳代謝が妨げられ、炎症を鎮め痛みを軽くします。主として頚部、胸部などの疾患で、発熱、疼痛があるときに用います。
<温感湿布>
トウガラシエキスが配合された薬剤は、それにより皮膚温が3℃上昇するといわれています。温刺激によって血管が拡張して、炎症物質の吸収を促進し、消炎、鎮痛をはかります。
はり薬(貼付剤)とは
皮膚に貼り付けて使用するお薬です。はり薬には(1)テープ剤と(2)パップ剤があります。
(1)テープ剤はほとんど水分を含まないはり薬です。
(2)パップ剤は水分を含むはり薬で、一般的に湿布といわれるお薬です。
作用範囲から、局所用と全身用とに分けられます。
<局所用>
薬が皮膚から組織に移行して、貼った周辺で薬の効果を発揮します。メリットとしては、全身への副作用が少ないという点が挙げられます。
副腎皮質ホルモン貼付剤、静脈留置針穿刺時の疼痛緩和に用いるリドカインテープ剤、消炎鎮痛剤などがあります。
<全身用>
薬が皮膚・粘膜を透過し、血管・リンパ管に入って全身で効果を発揮します。メリットとしては、薬を飲み込めない人に対して使える点、使用の有無を確認しやすい点などが挙げられます。
飲み薬と同様に全身への副作用や飲み合わせに気をつけなければならない注意点があります。
疼痛緩和薬、虚血性心疾患治療剤、女性ホルモン剤、禁煙補助薬、喘息治療薬、降圧薬、パーキンソン病治療薬、アルツハイマー治療薬などがあります。
最近は、薬剤を確実に、かつ至適濃度で目標部位に輸送 するという、ドラッグデリバリーシステム(DDS)という概念が注目されていますが、貼付剤はそれに応えた剤形として世界各国で研究開発が活発になってきています。
使用上の注意
- 毎日、同じ箇所に貼っていると皮膚がかぶれることがあります。必要に応じて貼る箇所を変えるなどして、正常な皮膚の状態を保ちましょう。
- 使用後は患部を清潔にした後、よく乾燥させてください。
- しわが寄らないように注意して貼ってください。
- 貼付直後、手のひらで10~15秒間押し付けて貼付を完全にしてください。
保管上の注意
- 直射日光や高温および湿気を避けてなるべく低温で保管してください。
- 滅菌してあるものは細菌やカビの混入の防止に注意してください。
- 使用後は袋に戻し、袋の切り口を折り曲げるか開封口のチャックを合わせて袋を密封してください。
- 小児の手の届かない場所に保管してください。
文責:薬剤部
最終更新日:2017年12月27日