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腋臭症 (わきが)

えきしゅうしょう (わきが)

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概要

腋窩(えきか)は、身体の中でも汗腺と皮脂腺が発達した場所です。汗腺はエクリン汗腺とアポクリン汗腺に分類され、後者のアポクリン腺は腋窩などの特定の部位の有毛部に発達し、水分に加えてタンパク質や脂質、コレステロールなどを分泌します。これらの分泌物は腋窩の常在菌によって代謝されることにより、特有の臭い(腋臭)を発生することが知られています。局所多汗症と腋臭症が合併することがあります。エクリン汗腺から多量の汗が分泌され、通気性の悪さから脇が湿潤環境になることにより表在細菌が増殖し、増殖した細菌がアポクリン汗を分解することにより臭いを発すると考えられます。

診断

慶應義塾大学病院皮膚科では、左右の腋窩にガーゼを1枚ずつ挟んだ状態で、5分間の踏み台昇降運動を実施していただき、腋から回収したガーゼを医師が嗅いで客観的に臭いを評価しています。

治療

市販の制汗剤・消臭剤

市販の制汗デオドラント製品には一時的な消臭効果があり、皮膚への塗布方法もクリーム、スプレー、ロールオンタイプなど、効果だけではなく消費者のニーズにあった製剤が開発されています。ただし、効果は持続せず、副作用として接触性皮膚炎、アレルギーを生じる場合があります。

A型ボツリヌス毒素局所注射

ボツリヌス菌毒素は、ボツリヌス菌が産生する神経毒素でA~G型の7種があり、この中でA型ボツリヌス毒素は最も効率よく交感神経からエクリン汗腺への発汗の指令を出すアセチルコリンを抑制します。A型ボツリヌス毒素局注療法は、2012 年11月より重度腋窩多汗症に対して保険適用となっています。腋窩の乾燥による腋臭の軽減は期待できますが、効果は限定的です。腋窩多汗症を合併された腋臭症の方のみ保険適応となります。

慶應義塾大学病院での取り組み

臨床研究

「腋臭症患者における腋窩皮膚微生物叢の網羅的解析」を行っています。この研究では腋臭症を持つ方の皮膚に生息している微生物の種類や割合と腋臭症との関係を調べ、腋臭症の発症に微生物がどのくらい関与しているのかを明らかにし、微生物に関連した新しい治療につなげる知見を得ることを目指しています。

治療

腋窩多汗症を合併された腋臭症の方のみの適応となりますが、マイクロ波を利用した腋窩多汗症の治療機器がミラドライ®システムです。全国の大学病院で初めて慶應義塾大学病院が導入しました。

マイクロ波治療機器(ミラドライ®)は皮膚を切開することなく、皮膚の表面からマイクロ波を照射し、汗腺組織を熱損傷させて永続的に汗腺組織を熱損傷させて永続的に汗腺組織を除去する治療です。ミラドライ®️の効果と安全性はFDA(Food and Drug Administration:アメリカ食品医薬品局、日本の厚生労働省にあたる政府機関)で認められており、腋窩多汗症、腋臭症、減毛の適応で承認を取得しています。日本国内では腋窩多汗症のみ薬事承認を取得しています。

皮膚にマイクロ波を照射すると、細胞内の水分子が振動することで熱が発生します。また、皮下組織が真皮と異なる伝導性・誘電率を持つため、マイクロ波が皮下組織で反射します(図1)。 これにより、汗腺が存在する真皮深層から皮下組織浅層に温度の高いヒートゾーンを形成し、汗腺を焼灼・凝固します(図2)。同時に、皮膚表面を吸引しながら冷却する(図3)ことにより、ヒートゾーンを真皮と皮下組織の境界付近にとどめ、さらには表皮に向かう熱伝導の影響を抑え、表皮や真皮の熱損傷を防ぎます。

汗腺を焼灼・凝固するため、高い効果が得られ、長期的に効果が持続すると考えられています。保険適応はなく自費治療となります。
*図は(株)ジェイメックより許諾を得て転載

治療の方法

ハンドピースを当ててマイクロ波を照射していきます。照射時間にもよりますが、治療時間は片側で30分から45分程度です。治療後の固定などの処置は必要なく、通常の日常生活を送ってください。手術日よりシャワーは可能です。

治療中の様子
*写真は(株)ジェイメックより許諾を得て転載

文責: 皮膚科外部リンク
最終更新日:2021年6月1日

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