慶應義塾大学病院KOMPAS

HOME

検索

キーワードで探す

閉じる

検索

お探しの病名、検査法、手技などを入れて右のボタンを押してください。。

小児の骨形成不全症

しょうにのこつけいせいふぜんしょう

戻る

一覧

概要

骨形成不全症とは、骨が折れやすくなる病気です。
まず骨の構造について簡単に説明します。
骨は私たちの体を支えてくれています。私たちの体には数100もの骨があります。骨がなければ、私たちは自由に体を動かすことができなくなってしまいます。
骨をよく観察すると、外側の固いところと内側の空間になっているところがあります。外側の固いところは鉄筋コンクリートのような構造になっていて、「コラーゲン繊維」と「ミネラル」から成り立っていることが分かります(図1)。これに対して内側の空間には、「骨髄」と呼ばれる、血液を作る工場があります。図2は外側の固いところを鉄筋コンクリートのビルディングに例えた模式図です。外側の固いところのうちで鉄筋にあたるのがコラーゲン繊維(図2の中のコラーゲン)、コンクリートにあたるのがミネラルです。このミネラルの主成分がカルシウムです。

図1. 骨の構造

図1. 骨の構造

図2. 鉄筋コンクリートのビルディングに例えた模式図

図2. 骨を鉄筋コンクリートのビルディングに例えた模式図

症状

骨形成不全症は、骨の外側の固いところのコラーゲン繊維を正常に作ることができないという病気です。コラーゲン繊維を正常に作ることができないということは、鉄筋コンクリートのビルディングでいえばはじめから鉄筋が壊れているのと同じです。したがって、骨形成不全症では簡単に骨が折れてしまいます。簡単に鉄筋コンクリートのビルディングが倒れてしまうというわけです。骨形成不全症では、骨が折れるはずのないような時でも骨が折れてしまいますし、何回も骨が折れてしまいますので、手足や背骨が変形してしまったり、1人で歩けなくなってしまうこともあるのです。
我が国には、骨形成不全症の患者さんは人口5万人に1人くらいいるといわれています。
骨形成不全症の診断には、骨レントゲン検査、骨密度検査(DXA)、遺伝子検査などが有用です。いずれも慶應義塾大学病院で検査可能です。

治療

最近、骨形成不全症の治療が可能になりました。すでに当院小児科では多くの骨形成不全症の患者さんを正確に診断し、そのうえで治療を担当させていただいています。実際に治療をするときは、ビスホスホネートと呼ばれる薬を点滴に混ぜて投与します。ビスホスホネートはコラーゲン繊維を強くしてくれる働きを持っていますので、この治療によって骨形成不全症の方も骨が折れにくくなるというわけです。「薬を点滴に混ぜて投与する」だけですから、決して大変な治療ではありません。お子さんでも治療を受けることができます。しかしビスホスホネートの治療は3カ月に1回くらいの頻度で、少なくとも2年以上繰り返すことによってはじめて充分な効果を得ることのできる「気の長い」治療であることも事実です。いつまで治療を継続すべきなのか、大人になったらどうするのか、まだまだ未解決も問題もあります。骨形成不全症の患者さん、あるいはご家族はぜひ治療経験の豊富な専門の医師に相談することをおすすめします。

慶應義塾大学病院での取り組み

毎週火曜日の当院小児科内分泌代謝外来でご相談ください。私たち小児科内分泌代謝外来を担当している医師を含めた専門のスタッフ(責任者:長谷川奉延)がお待ちしております。以下の関連リンクもご参照ください。

責任者:長谷川奉延

責任者:長谷川奉延

関連リンク ~さらに詳しく知りたい方のために~

文責: 小児科外部リンク
最終更新日:2019年9月10日

ページTOP