概要
これまで、うつ症状の原因となる病気の診断は、問診により得られる情報にもとづいて行ってきました。「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」は、光トポグラフィー検査を用いて、問診による診断をより確かな診断に近づけようとするものです。
検査でわかること
臨床診断を自動判定するものではありません。これまでの検討では約6~8 割の精度で臨床診断(うつ病・躁うつ病・統合失調症)を示唆する結果がでています。しかし、この検査によって、精神疾患の有無を確定したり、診断名を証明したりするものではありません。
検査の実際
光トポグラフィー検査は外来で施行可能です。本検査の対象となるのは、『うつ病として治療を行っていて、治療抵抗性(薬物がききにくいこと)であること、統合失調症・双極性障害が疑われる症状を呈すること等により、うつ病と統合失調症又は双極性障害との鑑別が必要』な方です。具体的には検査用の帽子をかぶって行います。そして、頭部に近赤外光を当て、脳を働かせる課題を行う際の脳の血液量変化を測定し、脳の機能の状態を検討します。検査は通常30分 程度で終わります。近赤外線は曇りの日より弱い光で安全性は広く認められており、危険性の報告はありません。安心して検査をお受けいただくことができます。
そのほかの注意
光トポグラフィー検査は治療ではありません。検査を行うことにより病状が改善することはありません。
場合によっては、計測不良で判定が困難なこともあります。
慶應義塾大学病院での取り組み
慶應義塾大学病院では、光トポグラフィーに関する臨床研究も行っています。
文責:
精神・神経科
最終更新日:2017年2月7日