概要
現在我が国には400万人以上の認知症患者がおり、さらにおおよそ400万人の認知症予備軍(軽度認知障害)がいると考えられています。認知症の原因となる病気の半数以上はアルツハイマー病ですが、研究・開発が進められているにもかかわらず、残念ながら現時点ではアルツハイマー病を完全に治療する方法はありません。
検査でわかること
アルツハイマー病の原因としては、脳内でのアミロイド蛋白の蓄積が重要な役割を果たしていることが知られています。アミロイド蛋白の蓄積を確実に知るためには直接脳細胞を調べる必要がありますが、生きている間に実施することは困難です。しかし、近年開発されたアミロイドPET検査は脳内でのアミロイド蛋白の蓄積を捉えることができるため、精度の高い診断が可能となりました。さらにアミロイド蛋白の蓄積は認知症(アルツハイマー病)が発病するかなり前から始まっているため、発病の15年以上前からアミロイドPETで異常を検出できる可能性が報告され注目されています。つまりアミロイドPET検査ではアルツハイマー病を診断するだけでなく、たとえ認知症の症状が全くなくても、アルツハイマー病になりやすい人がわかります。
検査の実際
検査の方法は、がん検診などで行われるPET検査とほとんどかわりありません。まず試薬を静脈注射し、90分後より約20分間の撮影を行います。現在当院では研究・調査目的での検査のみが実施されていますが、今後は通常の臨床の場でも使用することを予定しています。
文責:
精神・神経科
最終更新日:2017年1月24日