概要
肛門に細いチューブを挿入して、そのチューブから造影剤や空気を注入し、X線画像を撮影します。
所要時間
15~25分程度。
検査を受ける前に
・前処置
大腸内に便が残存していると病変が隠れてしまったり、病変と紛らわしくなるので、腸内をきれいにして検査します。以前は3日前からの準備を行っていましたが、最近は、当日、朝食を抜いていただき、腸管洗浄剤を飲むだけで検査ができるようになりました。
・鎮痙剤
大腸の蠕動(=食物を移動させるための腸の収縮運動)を抑える目的で、検査の5分ほど前に鎮痙剤として抗コリン薬(ブスコパン)を1アンプル筋肉注射します。抗コリン剤が使用できないときにはグルカゴン1アンプルに変更したり、注射せず検査を行うこともあります。
検査の実際
検査台の上に乗り、検査用のチューブを肛門から挿入します。チューブにはバルーンが2個付いており、肛門の外と中で膨らませることによって肛門に固定します。チューブから空気と造影剤を注入し、体位変換しながら、直腸から回腸末端まで逆行性に造影します。12~30枚程度のX線画像を撮影します。
造影剤は通常、高濃度低粘稠性の硫酸バリウム造影剤を用いますが、消化管閉塞や穿孔が疑われる症例ではガストログラフィン(商品名、ヨード系造影剤)を用います。
当院では、検査終了後に大腸内の造影剤と空気を可能な限り抜くことを心がけています。
検査前の注意
- 前処置薬服用後に、便の出が悪かった方
(浣腸を追加したり、検査中に大腸内をバリウムで洗って対応する) - めまいを起こしやすい方
(注腸造影は検査台上で頭低位~半立位が繰り返されるため) - 心臓病(特に狭心症、心房細動)、緑内障、前立腺肥大の方
(抗コリン剤が使用できない方がいらっしゃいます) - 脳梗塞後や整形外科的疾患などで体位変換が困難な方
(上部消化管造影は消化管造影の中で最もすばやい体位変換が必要な検査であるので、介助させていただくか検査の方法を少し変更おさせていただくことがあります) - 目や耳の不自由な方
(介助させていただきます) - 人工肛門(ストマ)を造設している方
(注意深く、ストマあるいは肛門から検査させていただきます)
検査後の注意
いつもより水分を多めに取っていただき、腸の中に残存したバリウムが固まらないようにしてください。お食事は他の検査がなければすぐに召し上がっていただいて構いませんが、腸の動きが止まっているため一度に沢山召し上がると吐き気や嘔吐を生じることがありますので、6-8分目に控えてください。下剤を渡された場合には必ずお飲み下さい。
目的
以下のような疾患の検索ならびに精密検査
クローン病、潰瘍性大腸炎、虚血性大腸炎、アメーバ腸炎、大腸憩室(図1)(憩室炎・憩室出血を含む)、腸結核、腸捻転、ヘルニア、大腸粘膜下腫瘍、腸管子宮内膜症、大腸ポリープ、大腸がんなど
その他:腹部臓器に疾患が認められた場合、大腸への影響の有無の確認。
憩室出血時、バリウムパッキングによる止血。
図1
文責:
放射線診断科
最終更新日:2015年7月16日