概要
200~300mlの造影剤を飲んでいただき、小腸内を通過するところをX線透視で追跡しながら撮影します。細いチューブを口から十二指腸まで挿入して、そのチューブから造影剤や空気を注入する方法もあります。
所要時間
60~180分程度。
検査を受ける前に
・前処置
前日夕食後から禁飲食とします。
便秘の方は、検査が長引くことが多いので、検査を円滑に進めるために、前日就寝前に緩下剤を投与し、十分に排便していただいて検査することがあります。
・鎮痙剤
通常は用いません。造影剤が全小腸を通過するには時間がかかり、鎮痙剤で小腸の運動が停止するとさらに大幅に検査時間が遅延してしまうからです。しかし、検査中に造影剤が病変部に到達し、詳細な画像を撮影するときには、鎮痙剤を投与して、撮影することがあります。
検査の実際
検査寝台の上に乗り、造影剤を口から飲むか、挿入したチューブから注入します。十二指腸、空腸、回腸へと蠕動運動によって進んでゆく造影剤を経時的に観察し、10~30枚程度のX線画像を撮影します。 蠕動運動には個人差があり、検査所用時間はばらつきがあります。
造影剤の進み具合によって、検査台から降りて休憩を数回挟みつつ検査を行います。
造影剤は通常、硫酸バリウム製剤を用いますが、消化管閉塞や穿孔が疑われる症例ではガストログラフィンを用います。
検査前の注意
以下の方はお申し出下さい。
- 誤嚥(=飲食時に気管に入ってむせること)を起こしやすい方
- 便秘の方、腸閉塞の既往がある方
検査後の注意
いつもより水分を多めに取っていただき、腸の中に残存したバリウムが固まらないようにしてください。お食事は他の検査がなければすぐに召し上がっていただいて構いません。下剤を渡された場合には検査後すぐ、あるいは食後に必ずお飲み下さい。
目的
以下のような疾患の検索ならびに精密検査
クローン病(図1)、腸結核、ベーチェット病、メッケル憩室、腸重積、腸回転異常、内外ヘルニア、粘膜下腫瘍、悪性リンパ腫、小腸ポリープ、小腸がんなど
その他、腹部臓器に疾患が認められた場合に、小腸への影響の有無を確認するために検査することもあります。
図1
文責:
放射線診断科
最終更新日:2015年7月16日