概要
細いチューブを口(あるいは鼻)から十二指腸まで挿入し、鎮痙剤を注射して蠕動(=食物を移動させるための腸の収縮運動)を止めて、挿入したチューブから造影剤や空気を注入して、二重造影像を撮影する方法です。
所要時間
10~20分程度。
検査を受ける前に
・前処置
前日夕食後は禁飲食です。
・鎮痙剤
十二指腸の蠕動を抑える目的で、チューブ挿入後に鎮痙剤として抗コリン薬(ブスコパン)を1~2アンプル筋肉注射します。
検査の実際
「低緊張性」とは鎮痙剤で十二指腸の筋肉の緊張を緩めた状態を指します。前項の上部消化管造影でも胃の後に十二指腸を検査することは可能ですが、造影された胃と重なって詳細な診断ができないことがあり、このような方法が用いられています。とくに膵管や胆管が開いているファーター乳頭部(腫瘍や炎症が多いところ)の精密検査に適しています。
検査前の注意
以下の方はお申し出下さい。
- 誤嚥を起こしやすい方
(食事中や水などを飲んだときによく咳が出る人) - 心臓病(特に狭心症、心房細動)、緑内障、前立腺肥大の方
(抗コリン剤が使用できない方がいらっしゃいます) - 脳梗塞後や整形外科的疾患などで体位変換が困難な方
(上部消化管造影は消化管造影の中で最もすばやい体位変換が必要な検査であるので、介助させていただくか検査の方法を少し変更おさせていただくことがあります) - 目や耳の不自由な方
(介助させていただきます)
検査後の注意
いつもより水分を多めに取っていただき、腸の中に残存したバリウムが固まらないようにしてください。お食事は他の検査がなければすぐに召し上がっていただいて構いませんが、腸の動きが止まっているため一度に沢山召し上がると吐き気や嘔吐を生じることがありますので、6-8分目に控えてください。下剤を渡された場合には検査後すぐ、あるいは食後に必ずお飲み下さい。
目的
以下のような疾患の精密検査
十二指腸粘膜下腫瘍、ファーター乳頭部腫瘍(図1)など。
膵臓などの近接する臓器に炎症や腫瘍がある場合に、十二指腸の狭窄の有無や程度を確認するために行うこともあります。
図1
文責:
放射線診断科
最終更新日:2015年7月16日