概要
造影剤と発泡剤を服用し、食道・胃・十二指腸のX線画像を撮影します。
所要時間
10~20分程度。
検査を受ける前に
・前処置
前日夕食後から禁飲食です。
・鎮痙剤
検査中に胃の蠕動運動(=食物を移動させるための消化管の収縮運動)や胃液の分泌を抑えるために、検査の5分ほど前に鎮痙剤として抗コリン薬(ブスコパン)を1アンプル筋肉注射します。抗コリン剤が使用できないときにはグルカゴン1アンプルに変更することもあります。また、注射せず検査を行うこともあります。消化管の機能を見る検査では鎮痙薬は用いません。鎮痙剤には副作用を伴うことがあるので、注射前に質問いたします(後述)。
検査の実際
検査寝台の上に乗って、造影剤や発泡剤を服用していただき、立位や臥位でいろいろな方向を向いて撮影します。12~20枚程度のX線画像を撮影します。
精密検査や誤嚥(=飲食時に気管に入ってむせること)が強い場合には、鼻から細い管を入れて造影剤や空気を注入することもあります。造影剤としては通常、高濃度低粘稠性硫酸バリウムを用いますが、消化管閉塞や穿孔が疑われる症例ではガストログラフィン(ヨード系の造影剤)を用います。
検査前の注意
以下の方はお申し出下さい。
- 誤嚥を起こしやすい方
(食事中や水などを飲んだときによく咳が出る人) - 便秘の方、腸閉塞の既往がある方
- 心臓病(特に狭心症、心房細動)、緑内障、前立腺肥大の方
(抗コリン剤が使用できない方がいらっしゃいます) - 脳梗塞後や整形外科的疾患などで体位変換が困難な方
(上部消化管造影は消化管造影の中で最もすばやい体位変換が必要な検査であるので、介助させていただくか検査の方法を少し変更おさせていただくことがあります) - 目や耳の不自由な方
(介助させていただきます)
検査後の注意
いつもより水分を多めに取っていただき、腸の中に残存したバリウムが固まらないようにしてください。お食事は他の検査がなければすぐに召し上がっていただいて構いませんが、腸の動きが止まっているため一度に沢山召し上がると吐き気や嘔吐を生じることがありますので、6-8分目に控えてください。下剤を渡された場合には検査後すぐ、あるいは食後に必ずお飲み下さい。
目的
以下のような疾患の検索ならびに精密検査
食道:
食道炎(逆流性食道炎、食道カンジダ等)、食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎、アカラシア(図1)、膠原病などによる食道蠕動障害、粘膜下腫瘍、食道憩室、食道がんなど
胃:
胃炎(萎縮性胃炎、肥厚性胃炎など)、胃びらん、胃潰瘍、ポリープ、粘膜下腫瘍、悪性リンパ腫、胃がん(図2)など
十二指腸:
十二指腸潰瘍、ポリープ、がん、粘膜下腫瘍、十二指腸憩室
その他:
近傍の臓器に疾患が認められた場合、上部消化管への影響の有無の確認。粗油化管のねじれ(軸捻)、消化管の位置や走行の異常。
図1
図2
文責:
放射線診断科
最終更新日:2015年7月16日