概要
ガリウムシンチグラフィとは、腫瘍や炎症部位に集まる放射性薬剤を静脈投与した後、放射性薬剤の集積程度を特殊なカメラ(ガンマカメラ)で撮像することにより、悪性腫瘍の診断や発熱(図1)の原因を調べる検査です。
所要時間
ガリウムという放射性薬剤を投与し、2日ないし3日後にガンマカメラで撮像します。投与は数分以内に終了します。撮像時間は検査目的によりやや異なりますが、おおよそ15~40分です。
検査を受ける前に
- 検査を申し込みする前に、他の検査予定を確認してください。
骨密度検査を予定されている方は、ガリウムシンチグラフィ検査の前に必ず行うようにしてください(骨密度測定ができなくなります)。あるいはガリウムシンチグラフィ検査から一ヶ月ほど間隔をあけて骨密度測定を行ってください。ガドリニウム造影剤を用いたMRI検査を予定されている方は、可能であればガリウム投与2日後以降に行うのが望ましいです(画質の低下を招く恐れがあります)。 - 検査を申し込みする前に、閉所恐怖症の方はあらかじめお伝えください。
ガンマカメラでの撮像は完全な閉所ではありませんが、閉所恐怖症の方にはカメラと本人との間を広くすることができます。 - 撮像前日
ガリウムは投与されて数日以内は腸管内へ多く排泄され、それが診断の妨げになる恐れがあります(図2)。そのため、腹部の精密検査などでは撮像前日に下剤を服用し排便を促していただくことがあります。下剤服用の必要性については放射線専門医が判断しますが、必要と判断されれば放射性薬剤の注射後に説明があります。また状況により、食事内容についても制限を加えることがあります。 - 撮像当日
撮像当日に食事を行ったとしても、撮像時の腸管内のガリウム排泄量にはほとんど影響しません。したがって、撮像当日は食事等の制限はございません。他の病気で処方されている薬剤を服用されても構いません。
検査の実際
- 撮像日の2日ないし3日前に放射性薬剤(ガリウム)の注射を受けます。
- 指定された撮像日時に来ていただき、撮像のための着替えをします。金属(ヘアピンやベルトなど)をはずしていただきます。
- ガンマカメラの検査台に横になります。
- 検査中は大きく体を動かせません。すぐ近くには放射線技師がおりますので、息苦しいときや痛みがあるときなどは声をかけてください。
- 呼吸は普通にして構いません。小さな咳程度は検査に支障ありません。
図1.ガリウムシンチ 右間質性腎炎症例
右腎にガリウムの異常集積がみられ、間質性腎炎の所見です。
図2.ガリウムシンチ 正常症例(腸管内への生理的集積がみられる)
文責:
放射線診断科
最終更新日:2017年5月2日