概要
- グルコースクランプ検査とは
糖尿病や肥満の患者さんの体の中で、インスリンの効きの良さ(インスリン感受性)がどの程度低下しているかを調べる検査です。 - インスリン感受性とは
インスリンはヒトの膵臓(すいぞう)で作られ体内に放出されるホルモンで、血液中の糖分(血糖)を筋肉や脂肪に取り込ませ、血糖値を上がりにくくする作用があります。しかし糖尿病や肥満の患者さんではこのインスリンが糖分を筋肉や脂肪に取り込ませる作用が低下していることが知られています(インスリンの効き具合が悪い;インスリン抵抗性)。この場合、このインスリンの効きが悪いことを補うために、インスリンが過剰に分泌されることになります(高インスリン血症)。
糖尿病の治療を考える上で、インスリンの放出が悪いのか、インスリンの効きの良さが低下しているのか(インスリン感受性の低下)を知ることは重要なポイントとなります。 - 検査の原理
グルコースクランプ検査では、インスリンを持続的に体に注射して体の中のインスリン濃度を一定にします(これをクランプと呼びます)。その上でブドウ糖(グルコース)も注射して血糖値を一定(90-100mg/dl程度)に保つようにします。この時に必要なブドウ糖の量(注射しているブドウ糖の量)が多いとインスリンの効きは良い(インスリン感受性が高い)ことになり、必要なブドウ糖の量が少ないとインスリンの効きが悪い(インスリン感受性が低い)ことになります(図)。
所要時間
およそ180分程かかります。
検査を受ける前に
- 前日の夕食後は食事を摂らないでください。お茶、コーヒーなどの刺激物は避け、禁煙・禁酒としてください。
- 検査当日は安静にしていてください。
検査の実際
ベッドに仰向けに寝て、両手に点滴をします。片腕からブドウ糖(グルコース)とインスリンを注射し、反対の腕から採血し血糖値の測定を持続的に行います。また定期的に指先からも血糖測定を行います。検査の間はベッドの上で安静にしていただきます。ブドウ糖とインスリンを自動的に調整して注射する機械(人工膵臓とも呼ばれます)を使用して行います(写真)。
検査後の注意
検査後は低血糖(血糖値が低くなること;おおむね70mg/dl未満程度)になることがあるため 、検査終了後に食事を摂っていただきます。
検査に際しての注意
グルコースクランプ検査はインスリンを注射するため低血糖となる可能性があり、糖尿病の網膜症、腎症、神経障害などの合併症がある方は検査が困難である可能性があります。
人工膵臓の例
文責:
腎臓・内分泌・代謝内科
最終更新日:2018年1月29日