概要
下部消化管内圧検査とは、慢性便秘、ヒルシュスプルング病および類縁疾患、鎖肛などの疾患を対象に、疾患、病態の把握、術前術後の排便機能評価などを目的として行う検査です。肛門管(*1)内圧検査とHAPC(*2)の測定があり、共に内圧測定装置(直径2ミリほどの細いチューブ)を用いて消化管の内圧を測定します。
*1 肛門管:おしりに最も近い部分でおしりを締めたときに締まる部分のことをいいます。
*2 HAPC:High amplitude propagated contractionsの略で、排便時に大腸の口側から肛門側に伝わる強い収縮のことを指し、正常の排便時に認められる腸の収縮パターンです(図1)。
図1.HAPC
4か所で大腸の内圧を測定したときの強い収縮の様子。
上から下にかけて強い収縮が伝わっているのが特徴。
所要時間
1時間ほど
検査を受ける前に
- 検査前4時間は、ミルクを飲まないようにしてください。
- 直腸内をきれいにする目的で検査前に浣腸や洗腸をさせていただく場合があります。
- 静脈に点滴を刺し、点滴をつなげます。
検査の実際
- 検査を安全に行うための軽い鎮静(うとうとした状態)をかけます。
- 肛門管内圧検査:内圧測定用装置(図2)を肛門より5~10センチほど挿入し、ゆっくり引き抜いてくるときの圧の変化を記録することで、肛門管の内圧を評価します。
- HAPC:内圧測定用装置を肛門より15~20センチほど挿入した状態で固定し、排便時の大腸の圧の変化を記録することでHAPCの出現の有無を評価します。なお、排便は基本的に浣腸によって誘発します。
- 装置を入れるにあたり、多少の痛み、違和感を伴うことがあります。また、非常に低い確率で、直腸に穴が開いたり、出血する可能性もあります。
図2.内圧測定プローベおよび測定器
(スターメディカル社より許可を得て掲載)
検査後の注意
鎮静剤を使用しますので、完全に目が覚めるまでの間、呼吸状態や体内の酸素濃度などを監視し、必要があれば酸素投与を行います。
文責:
小児外科
最終更新日:2024年11月12日