概要
組織検査の1つで、画像装置(マンモグラフィまたは超音波)で病変を確認しながら針を刺し入れ、針の側面にある穴から組織を吸引しながら採取します。マンモグラフィを用いるステレオガイド下吸引式針生検と、超音波(エコー)検査装置を用いるエコーガイド下吸引式針生検があります。
ステレオガイド下吸引式針生検
ステレオ撮影が可能なマンモグラフィを用いて病変を確認して行うマンモトーム生検です。触診や超音波検査では分からない、石灰化などの病変に対して行います。
【検査手順】
下に穴の空いたベッドにうつ伏せに寝て、マンモグラフィーと同じように乳房を圧迫板で挟みます。
2方向からレントゲン撮影(ステレオ撮影)をして病変の位置を確認し、コンピュータによって生検針を刺入する位置、角度、深さを決定します。
刺入部の皮膚および皮下に局所麻酔をし、皮膚を5mm程度切開し、直径3mm程の針を刺し込みます。
病変部に針を進め、針の側面の窓を開け、病変部の組織を吸引し、針の窓を閉めながら外筒で組織を切除し、針の中に病変を採取します。
針の角度を変えて、窓の方向を調節し、組織の採取を繰り返します。
採取した組織をマンモグラフィ装置で撮影し、病変が採れているかを確認します。
組織の採取が終わったら針を抜いて、傷口を圧迫止血し、テープで止めて終了となります。
下の写真はマンモトーム生検後5日目の創部です(乳頭下側の赤い点が創部)。
検査時間は約30分から1時間程度です。
後出血の予防のため、検査後1日程度、刺入部をテープで圧迫します。
外来通院で行うことが可能なので、入院の必要はありません。
採取した組織は病理組織検査で判定しますので、結果が分かるまでにおよそ5~14日かかります。また、判定が難しい場合や追加染色が必要な場合があり、その際はさらに時間がかかります。
エコーガイド下吸引式針生検
超音波(エコー)診断装置で病変を確認して行うマンモトーム生検です。腫瘤(しこり)などの、超音波で確認可能な病変に対して行うことが可能です。仰向けで行い、病変の確認を超音波で行う以外は、ステレオガイド下吸引式針生検と同様です。
ボリュームナビゲーションガイド下吸引式針生検
乳腺の病変の中には、マンモグラフィーおよび超音波(エコー)でははっきりしないが、MRI撮影をすることで病変がよく分かることがあります。しかしMRIで病変を確認しながら針生検をすることは我が国ではまだ一般的ではありません。当院ではこのような病変に対して、MRIを2回(仰向けとうつ伏せで)撮影し、特殊な画像処理を行うボリュームナビゲーション(Volume Navigation)というシステムを使用しながら針生検を行っています(ボリュームナビゲーションガイド下吸引式針生検)。MRI検査は造影剤を使用するため、造影剤のアレルギーのある方や喘息のある方は行うことができません。MRI撮影は仰向けとうつ伏せ2回行い、特殊な画像処理を行って病変の確認を行う以外は、超音波ガイド下吸引式針生検と同様です。
さらに詳しく知りたい方へ
- 乳癌診療ガイドライン. 1, 治療編. 2018年版 / 日本乳癌学会編
東京 : 金原出版, 2018.5 2018.5 - 乳癌診療ガイドライン. 2, 疫学・診断編. 2018年版 / 日本乳癌学会編
東京 : 金原出版, 2018.5 2018.5 - がん情報サービス(国立がん研究センター)
- 日本乳がん情報ネットワーク
文責: 一般・消化器外科
最終更新日:2019年2月27日