概要
耳介(耳たぶ)は、胎生5週頃に第1、第2鰓弓(さいきゅう)に耳介結節が発生し、合わさって形成されます。この形成過程で瘻孔(ろうこう)が残ると発生すると考えられます。発生率は非常に高く、10%程度にみられ、多くは両側です。
症状・診断
両側の耳介の前方に小さな孔がみられることが多いです。ゾンデ(棒のような器具)でたどると、深さが数ミリから数センチに達するものまであります。中に分泌物が詰まって炎症を起こし、発赤腫脹を呈する場合があります。
治療
炎症所見が完全に治まれば瘻孔を摘出します(下図参照)。手術の際には色素を瘻孔から注入し、瘻孔を染めて行います。このとき瘻孔が耳介軟骨に付着していることが多く、軟骨を一部切除することがあります。術後早期に退院可能ですが、炎症の所見によっては数日間の抗生剤内服を必要とする場合があります。
予後
炎症が強いときなど一部瘻孔が残存した場合、再発することがあります。
文責:
小児外科
最終更新日:2020年10月21日