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カテコラミン誘発性多型性心室頻拍(CPVT)

かてこらみんゆうはつせいたけいせいしんしつひんぱく

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概要

カテコラミン誘発性多型性心室頻拍(Catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia:CPVT)は遺伝性の不整脈疾患で、1978年Coumelらにより4人の小児例が初めて報告され、1995年同グループにより多くの症例が報告されました(文献1、2)。身体的および感情的なストレス(カテコラミン刺激)によって誘発される二方向性心室頻拍および多形性心室頻拍(下記の図の上段)を特徴とする比較的まれな疾患です。突然死のリスクが高い疾患ですが、有効な薬剤がありますので早期の診断および適切な治療が必要です。

症状

約30%の患者さんに失神および突然死の家族歴がみられます。身体的、感情的ストレスを契機に、失神や心停止を来します。小児期から青年期の間に失神や心停止で発症することが多く、平均発症年齢は7~10歳と報告されています。時として診断が遅れることがあり、青年期以降または中年期以降に診断される例もあります。

原因遺伝子と発生機序

CPVTは遺伝性の疾患ですが、2001年にPrioriらおよびLaitinenらにより心臓リアノジン受容体遺伝子(RyR2)が原因遺伝子として報告されました(文献3、4)。このRyR2遺伝子によるCPVTには常染色体優性遺伝形式をとりますが、劣性遺伝形式をとるCASQ2変異によるCPVTも報告されています(文献5)。

CPVTの患者さんは、心筋細胞内の筋小胞体というカルシウムイオンの貯蔵庫からカルシウムイオンが漏れ出て、これに交感神経刺激が加わることによって、細胞内のカルシウムイオンがさらに増加して、不整脈を発生させると考えられています。

診断

問診

患者さんは、運動したり興奮したりするときに失神発作を起こすことが多く、これまでの発作の状況を問診します。また血縁者の中にCPVTと診断されている人がいないか、若くして突然死した人がいないかなどを詳しく問診します。

心電図

安静時の心電図は正常ですが、一部の患者さんは軽度の洞徐脈がみられることがあります。

運動負荷心電図またはホルタ―心電図(下図参照)

運動負荷の増加に伴って心室性期外収縮が出現し(下記の図の下段)、やがて特徴的な二方向性心室頻拍に移行します。負荷をさらに続行すると、多形性心室頻拍を経て心室細動に至ることがあります。

図

薬物負荷検査

β(ベータ)アドレナリン受容体刺激薬(イソプロテレノール)の点滴によって運動負荷と同様の不整脈が誘発されます。

遺伝子検査

遺伝子検査によるRyR2遺伝子変異の検出率は40~60%と報告されています。

治療

生活指導

個々の患者さんの状況に応じて運動を制限または禁止します。

薬剤

β(ベータ)遮断薬が第一選択となりますが、β遮断薬単独で効果が得られない場合は、カルシウム拮抗薬やナトリウム遮断薬(フレカイニド=商品名:タンボコール)を併用することがあります。

植込み型除細動器(ICD)

心停止を起こしたことのある患者さんや、薬剤によって不整脈が抑制されない患者さんは、ICD植込みをおすすめする場合があります。

予後

未治療では40歳までの死亡率が30~50%と高いことが報告されているため、早期診断を行って、適切な生活指導と薬物治療(場合によってはICD治療)を行うことが重要です。

慶應義塾大学病院での取り組み

当院では、カテコラミン誘発性多型性心室頻拍(CPVT)を含めた遺伝性不整脈患者さんの遺伝子解析を実施しております。通常は採血10ml程度の血液で主要な原因遺伝子の変異の有無の解析が可能です。費用については通常の診療費以外はかかりません。遺伝子解析を希望される患者さんは外来および入院主治医にお問い合わせください。

さらに詳しく知りたい方へ

参考文献:

  1. Coumel P, Fidelle J, Lucet V, et al : Catecholaminergic-induced severe ventricular arrhythmias with Adams-Stokes syndrome in children: report of four cases. Br Heart J. 1978;40(suppl):28-37.
  2. Leenhardt A, Lucet V, Denjoy I, et al : Catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia in children: a 7-year follow-up of 21 patients. Circulation. 1995;91:1512-1519.
  3. Priori SG, Napolitano C, Tiso N, et al : Mutations in the cardiac ryanodine receptor gene (hRyR2) underlie catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia. Circulation. 2001 Jan 16;103(2):196-200.
  4. Laitinen PJ, Brown KM, Piippo K, et al : Mutations of the cardiac ryanodine receptor (RyR2) gene in familial polymorphic ventricular tachycardia. Circulation. 2001 Jan 30;103(4):485-90.
  5. Lahat H, Pras E, Olender T, et al : A missense mutation in a highly conserved region of CASQ2 is associated with autosomal recessive catecholamine-induced polymorphic ventricular tachycardia in Bedouin families from Israel.Am J Hum Genet. 2001 Dec;69(6):1378-84.

文責: 循環器内科外部リンク
最終更新日:2019年3月5日

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