概要

カルジオフォンは、心電図をとり、その情報を電話回線を使用して病院に送信するものです。（図１を御参照ください）

図１．伝送心電図ネットワークカルジオフォン模式図

カルジオフォンはPHS電話と携帯型心電計が一緒になった機械です。患者さんは、この携帯型の心電計を使用し、いつでも、どこでも簡単な操作で、御自身で心電図を記録することができます。携帯型心電計の電極部分を手掌または左前胸部にあて30秒間心電図を記録します。得られた心電図情報は、心電計に自動的に保存されるとともにPHS電話回線を通じて自動的に慶應義塾大学病院の伝送心電図受診・診断部門のサーバーに送信されます。送られてきた心電図（図２）は循環器専門医により解析、診断され、外来での診療に活用されます。

当院では、1991年6月から2005年9月まで、110人の患者さんが、動悸の精査目的のためカルジオフォンを利用されました。そのうち88例（80%）の症例で、動悸の診断が可能でした。動悸や胸部症状を訴える患者さんには、当院ではカルジオフォンをお勧めしております。

図２．カルジオフォン心電図の一例

検査でわかること

胸がドキドキする、脈が速くなる、脈がとぶ、脈が乱れる、不整になるといった動悸症状、または、動悸に限らず一時的に胸のあたりの不快感、違和感がある時、その原因として心臓、特に不整脈が疑われます。ただし不整脈や心臓には異常のない、また、健康な方でもこのような症状を感じることもあります。不整脈は、特に治療は必要としないものから、重篤な、緊急性のあるものまで様々です。

動悸の原因を診断するためには、症状がおきている時に病院を受診し、心電図検査を受ける必要があります。また、24時間ホルター心電図検査は、心電図の電極を胸につけ、小型レコーダーを装着して、24時間心電図を記録する検査です。これにより、病院外でも24時間の心臓の脈の様子を知ることができます。しかし不整脈の頻度が多くない場合は、症状がある時に心電図をちょうど記録することは容易ではありません。頻度が高くない、一時的、発作的な症状の診断に有効な検査方法がカルジオフォン（携帯型心電図記録伝送装置）です。

また、当院では心房細動などの不整脈に対するカテーテルアブレーション後の患者さんにカルジオフォンを一定期間貸出して、再発の有無をチェックしています。

検査の実際

所要時間

患者さんによって数日から数週間、場合によっては数か月程度の貸出しになります。カルジオフォンは保険適用となります。

対象となる患者さん

胸がドキドキする、脈が速くなる、脈がとぶ、脈が乱れる、不整になるといった動悸の症状があり、当院循環器内科外来を受診され、当科主治医により必要と判断された患者さんが対象となります。動悸の症状があるにもかかわらず診断に至ってない場合はカルジオフォンの使用が適しています。外来にて小型レコーダー（カルジオフォン）の貸出しの手続きを致します。
また、当院で心房細動のカテーテルアブレーションを受けられた患者さんは原則として全例にカルジオフォンを退院時に貸出しています。

文責： 循環器内科
最終更新日：2017年2月6日