概要
光線過敏試験とは、臨床的に光線過敏症が疑われた場合に、診断の確定、重症度の評価、原因となる光線の波長の決定、原因物質の特定を目的に行う検査です。実際に患者さんの背中に光線を当て、皮膚の反応をみます。以下の3種類の検査があります。
1)UVB照射試験
UVB(ultraviolet B:波長域280~320nm)に対する光線過敏の検査。
2)UVA照射試験
UVA(ultraviolet A:波長域320~400nm)に対する光線過敏の検査。
3)光パッチテスト
皮膚に塗ったものに光線が当たってかぶれが起こる光アレルギー性接触皮膚炎や、飲み薬の服用後に光線が当たって薬疹(やくしん)が起こる光線過敏症型薬疹の原因物質を特定する検査。
検査を受ける前に
特に準備は必要ありませんが、検査部位である背中には何も塗らないで来院してください。また、光線過敏型薬疹の検査を受ける患者さんは、原因と思われる薬剤の使用を中止しておいてください。
検査の実際
1)UVB照射試験
- ベッドにうつ伏せになり、背中の検査部位以外の場所をすべて布で覆って遮光します。
- 背中の検査部位にUVBを段階的に、照射量を変えて数ヶ所に照射します。
- 照射した24時間後に皮膚を観察します。患者さんの皮膚が赤くなった照射量を日本人健常者の平均(50~100mJ/cm2、ただし個人差あり)と比較して、UVBに対する光線過敏があるかどうかを診断します。
2)UVA照射試験
- ベッドにうつ伏せになり、背中の検査部位以外の場所をすべて布で覆って遮光します。
- 背中の検査部位にUVAを段階的に、照射量を変えて数ヶ所に照射します。
- 照射した48時間および72時間後に皮膚を観察し、UVAに対する光線過敏があるかどうかを診断します。
3)光パッチテスト
- 光アレルギー性接触皮膚炎の原因と思われる接触源、または光線過敏症型薬疹の原因と思われる薬剤を、背中の検査部位の各2ヶ所に密封して貼ります。
- 24時間後にそれをはがし、2ヶ所あるうちの片方にだけUVAを照射します。
- 照射した24時間および48時間後に、光線を当てた側と当てない側での皮膚炎(赤くなる、ブツブツができる、じゅくじゅくしてくる、水ぶくれができるといったような症状を指す)の有無を確認し、光アレルギー性接触皮膚炎、光線過敏症型薬疹があるかどうかを診断します。
検査後の注意
- 照射した部位にサインペンなどでマーキングをします。
- 照射した部位は、判定まで濡らさないようにしてください。
- 照射した部位に、判定までの間に日光が当たらないようにしてください。
- 照射後、強い反応が起きた場合、検査部位にやけどのような水疱やびらんがみられることがあります。また、高度の光線過敏がある場合、照射後に全身の皮疹が悪くなることがあります。そのような症状がみられた場合は皮膚科外来へ連絡してください。夜間であれば当直医にご連絡ください。
文責:
皮膚科
最終更新日:2019年1月18日