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てんかん

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概要

てんかんは、てんかん発作を繰り返す脳の慢性の病気です。てんかん発作とは、意識の消失やけいれん、感覚異常、自律神経症状などが突然に起こり、短時間に回復するものです。これらの発作は大脳の神経細胞に生ずる電気的な過活動によるもので、この異常は脳波検査などの検査により検出されます。ある時点で人口1,000人中に存在するてんかん患者数(有病率)は3~10人とされており、一般人口の100~300人に1人が罹患していることになります。

症状

てんかん発作は、本人の意思とは無関係に突然起こり、通常は数十秒から数分以内に消失します。また、同様の発作症状を繰り返すことが特徴です。

てんかん発作は大きく全般発作と部分(局在関連)発作に分けられます。全般発作は、通常、意識障害を伴い、けいれんの場合は全身性にほぼ対称性に出現し、脳波でも大脳の全体にほぼ同時にてんかん性の異常波が見られます。部分発作では、例えば右上肢のけいれんや左下肢の感覚異常、情動の変化、自律神経症状などが生じ、それに対応し、脳波上、一部の大脳領域に突発性異常波が認められます。

診断

てんかんの診断のためには、上に述べました発作症状と脳波検査所見が重要です。また、てんかんの原因となる脳の病気を見つけるために頭部MRIなどの脳画像検査や血液・尿検査等を行ないます。てんかんは、その原因により以下の2つに大別されます。

  1. 症候性てんかん
    症候性てんかんは、頭部MRIやCT検査、血液・尿検査などにより原因が確定できたてんかんです。例えば、頭部外傷や出産時障害、脳血管障害、感染症、脳腫瘍、脳の奇形、変性疾患、代謝障害などが原因となります。症候性てんかんが考えられるが、神経学的徴候や画像所見を欠き、 病因が特定できないものを潜因性てんかんと呼びます。
  2. 特発性てんかん
    特発性てんかんは原因が明らかでないてんかんです。一般的にその他の脳機能や発達にも異常がなく、治療結果は概ね良好です。特発性てんかんでは何らかの素因が想定されており、最近では神経細胞の興奮性を制御する神経細胞膜のイオンチャネルに異常があるという研究報告が出てきています。

治療

てんかん治療の中心は抗てんかん薬による薬物治療です。

抗てんかん薬の開始

通常、てんかん発作が複数回出現した場合に抗てんかん薬による治療の開始を検討します。開始するには、てんかんの診断が確実であり、薬の内服を数年以上続けることに御本人が同意していることが前提条件となります。てんかん発作が1回の場合であっても、例えばてんかんと関連する脳波異常が重度で発作が反復する危険性が高い場合などは、御本人と御家族の意向や生活環境なども考慮して、抗てんかん薬を開始することがあります。

抗てんかん薬の選択と調整

抗てんかん薬は神経細胞に作用し、その過剰な活動を抑制する薬で、現在は様々な種類が使用可能です。てんかんの発作型、てんかん発作以外の付随症状、妊娠・出産を希望する女性かどうかなどを考慮した上で、発作に効果があり、副作用の少ない抗てんかん薬を選択します。その後、てんかん症状、副作用、脳波所見、抗てんかん薬の血中濃度などを見ながら、投与量を調整していきます。

抗てんかん薬の副作用

よく見られる副作用に眠気やふらつき、集中力の低下などがあります。初期に出現する、危険な副作用として全身性の薬疹が稀にあり、その場合は、すぐにその治療を開始する必要があります。また薬によっては歯肉が腫れたり、多毛になったりすることがあります。抗てんかん薬を長期間服用すると肝機能障害や腎機能障害、貧血、白血球減少などが見られることがあるので、1年に1, 2回程血液・尿検査を施行します。

生活上の注意

てんかんの原因そのものではありませんが、てんかんの発作を起こしやすくする様々な誘因が知られています。例えば、睡眠不足や過労、ストレス、薬の飲み忘れや断薬などはてんかん発作の誘因となります。緊張している仕事中は発作が起こらず、仕事から解放されてほっとした時、例えば夕食中や入浴中などに発作が起こる場合があります。また、発熱や特定の薬物などにより発作が出現することもあります。女性の場合、月経周期に同期して、生理前後に発作が増加することがよく知られています。以上のような誘因を知り、それらを取り除くことにより発作頻度を減らすことができます。

慶應義塾大学病院での取り組み

外来および入院治療を行っております。行動障害などがある場合やより専門的なアプローチが必要な場合には、てんかん専門の病院や精神科病院をご紹介することがあります。

さらに詳しく知りたい方へ

文責: 精神・神経科外部リンク
最終更新日:2017年3月6日

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