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胃食道逆流症(GERD)(小児外科)

いしょくどうぎゃくりゅうしょう

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概要

胃食道逆流(GER)は健常児でも生理的に認められ、成長とともに軽快します。溢乳(いつにゅう)はGERが口まで達したものであり、4か月児の67%、10~12か月児の5%にみられます。GERが反復する嘔吐、吐血、喘鳴(ぜんめい)などの症状や食道炎、反復性肺炎、貧血などの合併症を伴う場合を胃食道逆流症(GERD)といいます 。GERは下部食道括約筋が一過性に弛緩することで発生すると考えられています。

症状

小児GERDの症状は多彩であり、消化器症状として嘔吐、吐血、下血、哺乳不良、体重増加不良、反芻運動(一度飲み込んだ食べ物が再び口に戻り再咀嚼する)、胸焼けなどが、呼吸器症状として慢性咳嗽、喘鳴、反復する呼吸器感染、無呼吸などがあります。

診断

GERDの診断は上部消化管造影、食道pHモニタリング、食道内視鏡・生検、食道シンチグラフィなどの特殊検査を組み合わせて行います。食道裂孔ヘルニア、胃軸捻転、肥満、重症心身障害児、先天性食道閉鎖症術後などでは、GERDが発症しやすくなります。
ここでは小児胃食道逆流症診断治療指針作成ワーキンググループによる小児胃食道逆流症診断治療指針(日本小児科学会雑誌2006.110:86-94)に準じて記載いたします。

  1. 反復する嘔吐を主症状とする症例
    2歳以下で合併症がない場合、侵襲的な検査は行わずに、家族への説明と生活指導を行います。自然治癒傾向が強いことを伝えます。授乳後におくび(げっぷ)をさせ、吐きやすい時間帯に仰臥位で60°程度頭を挙上させた体位、またはだっこの姿勢を保ちます。排便、排ガスを促す。効果がみられない場合は、授乳を少量にし、その分、回数を増やします。市販の増粘物質(トロミアップなど)を添加したミルクやアレルギー疾患用ミルクを用いる場合もあります。
    2歳以下で合併症がある場合、または2歳以上の場合、小児外科専門医による検査を行います。年長児は、便通を整える、ベルトをきつくしない、食後しばらく臥位にならない、肥満を治す、カフェイン、チョコレート、香辛料など刺激物を避けるなど生活指導、食事療法を行います。
  2. 吐血・下血を主症状とする症例
    食道内視鏡・生検(食道粘膜生検)により食道炎の有無を診断します。逆流に対する治療としては、一般に生活指導に加え、消化管運動亢進薬が投与されます。食道炎を有する場合は、酸分泌抑制薬を投与します。内科治療に抵抗性のある児は、手術リスク、術後合併症、再発などの問題と手術により期待される生活の質(QOL)の向上を考慮したうえで、外科治療(噴門形成術)を行います。
  3. 喘鳴・反復性肺炎・無呼吸・突発性危急事態様症状を呈する症例
    原因不明の喘鳴や肺炎を繰り返す児で、嘔吐や胸痛など他のGERD症状をもつ児は検査、治療の対象になります。無呼吸、突発性危急事態様症状を呈する児は他疾患を除外したうえで精査を行います。
  4. 重症心身障害児の胃食道逆流(GER)
    一般的に難治で自然治癒では軽快しないことが多く、嘔吐、吐血、反復性肺炎などがみられる場合は、積極的に検査、体位療法、薬物療法を行います。症例により気管切開や喉頭気管分離といった手術によって症状が軽快する場合もあります。詳細な病態把握によって外科治療の適応は決められます。栄養管理の方法として、鼻からチューブを挿入し、十二指腸まで先端を進めておき、そこに栄養剤を注入する方法(十二指腸チューブからの栄養)や、GERに対する最も一般的な外科治療である噴門形成術に加え胃や小腸に直接チューブを挿入する胃瘻・腸瘻造設術を追加する場合もあります。

治療

噴門形成術

GERDに対する外科治療としてもっとも効果的な外科治療法です。前述した種々の検査によってGERDの確定診断が得られ、保存的療法では、症状の改善が望めないと判断されたものが、手術の対象になります。

手術は胃の上部を食道に巻きつけることによって、胃から食道への逆流を防止するものです。ニッセン手術といわれる手技がもっとも有名ですが、ほかにいくつかの手技が考案されています。従来は開腹によって手術はなされていましたが、近年、腹腔鏡手術の技術が向上し、腹腔鏡下噴門形成術は腹腔鏡を積極的に行っている施設では標準術式となってきています。

文責: 小児外科外部リンク
最終更新日:2014年11月28日

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