
慶應義塾大学病院の最新の取組み -3号館(南棟)-
はじめに
2012年8月より、大学病院3号館(南棟)は本格稼働を始めました。南棟5-6階には落ち着いた環境で療養いただく個室病棟を、4階にはがんやリウマチを通院で治療する外来部門を本院より移設・増床致しました。また、3階に人間ドックの実践を通じて予防医学を推進する組織を開設し、2階はがんの諸検査を行うPET検査を新規導入すると共に、リハビリの拠点を本院より移設し、南棟運営全体で新しい取組みを展開しています。
南棟は慶應義塾大学病院にとって約25年ぶりの病棟新設であり、新しい展開を始めると同時に、医学部100年(2017年)を期に開設を予定している新病棟建設に向けた、これからの医療とサービスを「考え」「実践する」場としても期待されています。「がんを中心とした包括的な医療の提供と予防医学の推進」を目標の一つに掲げ、数々の実績を持つ診療科が垣根を越えて協力し、疾患の予防から速やかな診断による早期発見、術後のケアまでの一貫した医療を高い水準で提供してまいります。

患者さん中心の医療の実践
新しい展開の中で基本とされているのが、「患者さんを病院の中心に置いた」医療・サービスの向上です。例えば、高齢者のがん治療では、糖尿病や人工透析を併発しているケースが多く、複数領域の視点で治療計画を考える必要があります。疾患ごとに専門家が診るだけではなく、病状や併発疾患の有無までを考慮した患者さんの状態を中心に据えた医療を目指します。
今回はその取り組みの中で、「早期発見・早期治療」「安心・快適な療養環境」「考える医療の実践」など、いくつか代表的なものを紹介させていただきます。
- 早期発見・早期治療 ~包括的な先進医療の提供と予防医学の実践の場~
南棟4階の腫瘍センターで11月より開始した「がん専門初診外来」では、がんの迅速な診断・治療を方針に、1週間以内で診断と治療計画をまとめ治療開始することを原則としています。現在、消化器がん、肺がん、乳がんを主な対象とし、いわゆる臓器別の「クラスター診療」を行っています。適切な治療方針については、関係する専門分野の医師が集うカンファレンスを通じて策定しています。また治療においては、早期発見であれば内視鏡や腹腔鏡を使った開胸・開腹しない、患者さんに負担が少ない低侵襲治療も可能となっています。
<腫瘍センター「がん専門初診外来」概要と受診案内>
以下のサイトをご覧ください。
http://square.umin.ac.jp/kocancer/center_info/
http://square.umin.ac.jp/kocancer/visit/
プレスリリースはこちらです。

- 患者さんの視点で行動するスタッフの配置 ~患者さんが安心して療養していただける場~
南棟の5-6階病棟および3階予防医療センターには、患者さんが直接伝えにくい悩みまで丁寧に汲み取り、かすかな問題の兆候まで把握できるように「コンシェルジュ」が配置されています。その目的は、患者さんや人間ドック受診者の皆さまの身近な存在として、対応力を向上させ、きめ細かなサービスに繋げていくことにあります。
病棟では、入院生活におけるさまざまな要望を最初に受け止める窓口役となり、人間ドックでは、リラックスした環境で適切な検査を受けられるようにサポートする役となります。そういった援助を通じて、患者さんの病気を治そうとする前向きな気持ちが育まれたり、さまざまな検査に主体性を持って受診していただくことで、医師・看護師・技師・薬剤師などの医療スタッフが、医療行為により集中できるように配慮しています。
- 「考える医療」の実践~スタッフが活き活きと働ける場~
診療科の枠を超えた新しい医療の取り組みでは、常に最善の治療・検査を目指し、南棟全スタッフで考え解決していくことを求められています。そのためには、診療科の枠を超え、スタッフの総力を結集した新しい医療を推進していく必要があります。毎月行われる南棟の運営状況や課題を確認・共有する協議会では、スタッフ全員が対等の立場で話し合い、問題点の改善を検討・推進しています。そして、それらの連携の形を患者さんが実感できる病棟を目指しており、そこで何よりも欠かせないのが、南棟で働くスタッフのパフォーマンスでもあります。導入研修の実施や各種勉強会、南棟のミッションを意識した、ワンランク上の主体的な行動が全スタッフに期待されています。

3号館(南棟)関連ウェブサイトのご案内
5-6階:病棟5階(31室)、6階(28室)の全病室が個室になっています。明治神宮外苑、新宿御苑をのぞむ緑豊かな空間の中で、ゆったりと治療を受けられる落ち着いた環境を整えました。病棟スタッフが入院から退院まで安心できる医療サービスと、患者さんのライフスタイルに応じた最適な治療計画を提供いたします。

4階:がんやリウマチ患者の外来化学療法部門が集結し、50床を越えるベッドを配置して、外来対応をしています。
・腫瘍センター http://square.umin.ac.jp/kocancer/
・免疫統括医療センター http://www.hosp.keio.ac.jp/shinryo/biologics/index.htm
KOMPAS「あたらしい医療」より次の記事をご参照ください。
2012年11月 最高峰の生物学的製剤 治療施設を目指して
2010年10月 生物学的製剤について

3階:人間ドックを開始し、これまでに約3000名の受診者の方々のチェックアップを行っています。メタボ健診、がん検診を中心に最新の検査機器をワンフロアーに配置し、質の高い検査を行っています。
・予防医療センター http://cpm.hosp.keio.ac.jp/
KOMPAS「あたらしい医療」より次の記事をご参照ください。
2013年3月 予防医療センターの人間ドック‐テーラーメイドの健康管理を目指して‐

2階:従来のSPECT検査に加え、最新鋭のPET-CT機器を新規導入し、専門医を配置してより質の高い検査を行っています。(PET-CT:腫瘍の有無の確認を得意とするPETとその位置や形の確認を得意とするCTを組み合わせたもの)
KOMPAS「検査の種類と注意」の「画像検査」にあるPET-CTもご参照ください。

・放射線診断科核医学部門 PET検査・SPECT検査 http://rad.med.keio.ac.jp/dx/study/cont09/
2階:リハビリテーション科
http://www.hosp.keio.ac.jp/shinryo/rihabiri/index.htm
KOMPAS「病気を知る」リハビリテーションもご参照ください。

最終更新日:2017年5月10日
記事作成日:2013年4月2日

あたらしい医療
- 2018年
- 2017年
- 自然な膝の形状を再現した違和感のない人工膝関節置換術
-整形外科- - 母斑症診療の新たな枠組み
―母斑症センター― - 子宮頸部異形成に対する子宮頸部レーザー蒸散術
―婦人科― - 新しい鎮痛薬ヒドロモルフォンによるがん疼痛治療
―緩和ケアセンター― - 内視鏡下耳科手術(TEES)
―耳鼻咽喉科― - 頭蓋縫合早期癒合症の治療‐チーム医療の実践‐
―形成外科― - 気胸ホットラインの開設
―呼吸器外科― - 出生前診断‐最新の話題‐
-産科- - クロザピン専門外来の取り組みと治療抵抗性統合失調症に対する研究について
―精神・神経科― - 治療の難しい天疱瘡患者さんに対する抗CD20抗体療法
-皮膚科- - AED(改訂)
-救急科- - IBD(炎症性腸疾患)センター
-消化器内科- - 肝不全に対する究極の治療-肝移植-
-一般・消化器外科-
- 自然な膝の形状を再現した違和感のない人工膝関節置換術
- 2016年
- 経鼻内視鏡頭蓋底手術(改訂)
-脳神経外科・耳鼻咽喉科- - ストーンヘンジテクニックを用いた低侵襲な大動脈弁置換術
-心臓血管外科- - 子宮体がんの手術とセンチネルリンパ節生検(改訂)
-婦人科- - 大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)(改訂)
-慶應ハートチーム- - BMI療法
-リハビリテーション科- - 災害拠点病院と災害派遣医療チーム(DMAT)
-救急科- - 心房細動に対するカテーテルアブレーション(改訂)
-循環器内科- - 最新ロボット(ダヴィンチXi)を用いた腹腔鏡下前立腺全摘術
-泌尿器科- - 残存聴力活用型人工内耳(EAS:Electric Acoustic Stimulation)
-耳鼻咽喉科- - 心房中隔欠損症(ASD)のカテーテル治療に新たなデバイス登場
-循環器内科-
- 経鼻内視鏡頭蓋底手術(改訂)
- 2015年
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