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早期からの緩和ケア -腫瘍センター 緩和医療部門-

はじめに

『がんにおける緩和ケア』と聞いてどのような事を連想されるでしょうか?終末期の医療、がん治療を諦めたときに行うもの、などのイメージがまだ根強くあるかもしれません。そんなイメージを覆すひとつの論文をご紹介します。2010年にアメリカより発表された研究ですが、進行肺がん患者を無作為に2グループに分け、一方には外来化学療法中(早期)から緩和ケアを提供し、一方には主治医が必要と判断した時点から緩和ケアを導入したところ、早期から緩和ケアを受けたグループの方が生存期間が2ヶ月長かった、というものです。(NEJM.2010;363:733-42)
"早期からの緩和ケア"とはいったい何か、緩和ケアの実際についてご紹介したいと思います。

緩和ケア

2人に1人ががんに罹患する時代となり、がんと診断された後、どのような治療を選択し、どのように療養し日常生活を自分らしく続けていくか、またそのためにはどんなサポートが必要か、多くの方がそのような問題を抱えるようになりました。
歴史的には、治癒困難な疾患に対する終末期ケアとしてスタートした緩和ケアですが、現在は、"あらゆる治療段階にある患者さん"に対し、療養の質を高めるための支援を行うことを目的とするようになりました。消極的医療ではなく積極的医療へと変化した緩和ケアについて、WHO(世界保健機構)の最新の定義をご紹介します。 (参照1) また日本では2007年のがん対策基本法案の制定後、がんに対する積極的緩和ケアが急速に広まりつつあります。

参照1 緩和ケアの定義(2002年WHO)
生命を脅かすような疾患、特に治癒することが困難な疾患を持つ患者および家族のQOL(quality of life, 生活の質、命の質)の向上のために療養の場にかかわらず疾患の全課程にわたり医療、福祉およびその他の様々な職種が協力して行う積極的で全人的な医療

症状と治療

1.身体のつらさ

がんの進行度にかかわらず、痛みを伴う事があります。また化学療法や放射線療法の副作用で生じる痛みも含めて、鎮痛薬の使用が推奨されます。鎮痛薬はWHOの3段階ラダーという基準に従って処方されます。まずは頭痛などに用いる非ステロイド系消炎鎮痛薬から始め(ステップ1)、効果が薄ければ弱い医療用麻薬を用い(ステップ2)、さらに効果が不十分であれば強い医療用麻薬(ステップ3)を用います。緩和ケアに痛みのために受診されている多くの患者さんがステップ3の薬剤を用いることで痛みの緩和を得ています。
麻薬と聞くと、"中毒、依存、使いすぎると効かなくなる"、といったイメージを持たれる方も多いかと思いますが、医師の診察のもと、適切にコントロールを行う場合そのような事はほぼおきないことがわかっています。むしろ痛みによって妨げられていた、眠りや食欲などを改善し、日常生活の質を高めることが期待されます。
また医療用麻薬は飲み薬、坐薬、点滴の他にも1日持続タイプと3日持続タイプの貼り薬があり、その方の状態に適した使用しやすいものを選択することができます。その他、当院では患者さんご自身で鎮痛薬の投与が安全に行えるPCA(Patient controlled analgesia:患者自己調節鎮痛法)ポンプを多数導入しており、点滴で麻薬を投与する場合に使用していただいています。
また、電気が走る、しめつけられる、といった神経が障害されたことによる痛みには抗けいれん薬、抗うつ薬などの鎮痛補助薬を併用します。その他、必要に応じて神経ブロック、痛みをとる目的での放射線療法を行ったりします。
痛みのほかに、しびれ、吐き気、食欲不振、息苦しさ、腹水による腹満感などに対しても薬物療法が用いられます。

疼痛管理の基本ーWHOの3段階ラダー
貼付タイプの麻薬
PCAポンプ

2.心のつらさ

がん治療の経過では、心に様々なつらさが現れます。病気や生活の心配、治療によるストレス、眠れない、気持ちが落ち込む(抑うつ)、御家族のストレスなどに対し、がん専門の精神科医がお話をうかがい、カウンセリングや薬物療法を行います。具体的には抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬、抗精神病薬などが用いられます。

療養支援

転院や在宅療養を希望される方のためのサポートを行います。緩和ケア病棟、ホスピスのご紹介、在宅療養に必要な在宅訪問看護や訪問医師、公的サービスの手配などをお手伝いします。

慶應義塾大学病院でのとりくみ

慶應病院では2007年より緩和ケアチームが本格的に始動しました。チームは緩和医療専門医、緩和医療暫定指導医、腫瘍精神科医、がん専門看護師、薬剤師、臨床心理士、放射線科医で構成され、かかりつけの科での療養に並行して患者さんの診療を毎日行っています。2010年には緩和ケア外来を開設し、外来、入院を通じて患者さんの体のつらさ、心のつらさ、また療養環境の調整などについて、主治医ドクターと協力してサポートを行っています。

緩和ケアチーム スタッフ

緩和ケアチーム スタッフ

関連リンク

最終更新日:2011年12月1日
記事作成日:2011年12月1日

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